はじめに
RyzenのX3Dシリーズって、名前だけどんどん有名になっていったせいで「強いらしいけど、何がどう違うのかよく分からない」という人、多いと思います。
自作PCの話になると必ずといっていいほど出てくるワードなのに、ちゃんと説明してもらえる機会って意外と少ないんですよね…
私も最初は「ゲーマー御用達のちょっと高いRyzen」くらいのイメージしかなくて、正直そこまで気にしていませんでした。でも仕組みを少しずつ調べていくうちに、通常版Ryzenとは考え方そのものが違うゲーム特化のCPUなんだなと分かってきて、イメージがガラッと変わりました!
この記事では、初心者〜中級者向けに、できるだけ専門用語をかみ砕きながら
- X3Dとは何か
- 3D V-Cacheってどういう仕組みなのか
- 通常版Ryzenと何が違うのか
- どんな人に向いているのか、向いていないのか
このあたりをまとめていきます。
X3Dの心臓「3D V-Cache」ってなに?

まずはここを押さえないと話が進まないので、3D V-Cacheからいきます。
読み方はスリーディーブイキャッシュ。AMDがRyzenに採用している「キャッシュメモリを立体的に積み重ねて増やす技術」のことです。
CPUはふだん、メインメモリからデータを取ってきて処理していますが、このメインメモリってCPUから見るとけっこう遠い場所にあります。いちいち遠くまで取りに行くのは時間がかかるので、その負担を減らすために「キャッシュ」という“手元の作業スペース”を持っているんですね。
キャッシュが広ければ広いほど、よく使うデータを近くに置いたまま作業できるので、無駄な行き来が減ります。
ただ、このキャッシュを最初から大きく作ろうとすると、物理的なスペースやコストの問題が出てきます。そこでAMDがやっているのが「キャッシュを平面ではなく縦方向にも積み上げてしまおう」という発想です。これが3D V-Cacheです。
X3Dシリーズは、この3D V-Cacheのおかげで、同世代の通常版Ryzenと比べてもかなり大きなL3キャッシュを持っています。たとえば7800X3DだとL3キャッシュが96MBという、普通のCPUから見るとちょっとおかしいくらいの容量になっています。
ゲームと3D V-Cacheの相性がいい理由
じゃあ、キャッシュが増えるとゲームで何がうれしいのか。
ここは「ゲームの処理の仕方」をイメージすると分かりやすいです。
ゲームは、キャラクターの位置や敵AIの状態、マップ情報、物理演算、描画のためのデータなど、同じような情報を毎フレームのように何度も何度も読み書きしています。こういう“何度も使うデータ”が多い処理は、キャッシュが大きいほど有利になります。
キャッシュが足りないCPUだと、必要な情報をその都度メインメモリまで取りに行く回数が増えてしまい、ほんのわずかな遅れが積み重なってフレームレートの安定性に影響してきます。
逆に、3D V-Cacheでキャッシュをもりもり積んだX3Dだと、よく使うデータを手元にため込みながら処理できるので、CPU側の待ち時間が減り、そのぶんゲームの処理がスムーズになります。
数値的な平均fpsが伸びるだけじゃなくて、「なんかカクつきが減った」「視点を振ったときの引っかかりがマシになった」みたいな、体感に近い部分で差が出ることも多いです。
特にWQHDや高リフレッシュレートモニターを使っていると、CPUがボトルネックになりやすい場面が多く、X3Dの恩恵を感じやすい領域です。
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通常版Ryzenとの違いは「得意分野」

ここで気になるのが「じゃあ普通のRyzenと何が違うの?」というところだと思います。
よくある誤解として「X3D=上位モデルだから全部強い」というイメージがありますが、実際はそういう設計ではありません。
ざっくり言うと、
- 通常版Ryzenは、高いクロックとバランスの良さを重視した万能型のCPU
- X3Dシリーズは、3D V-Cacheによるキャッシュ量を武器にしたゲーム特化型のCPU
という関係に近いです。
クロックに関して言うと、X3Dはキャッシュを積んでいるぶん、同じ世代の通常版より少し控えめの設定になっていることが多いです。ただし、これは「X3Dは何をやっても遅い」という意味ではなく、「クロックがモノを言う処理では通常版が有利な場面もある」という話です。
実際のゲームでどんな変化がある?
実ゲームでの変化は、ベンチマークのグラフよりも、プレイしたときの感触に出ることが多いです。
CPU側の負荷が高いタイトルや設定ほど、X3Dのキャッシュが効いてきます。
たとえば、オープンワールドで街中を走っているとき、敵やオブジェクトが多いシーン、レースゲームでコース上に大量の車が並んでいる状況、バトロワ系で終盤にプレイヤーが密集している場面など、何かと処理が込み合うタイミングですね。
そういうシーンで、X3D構成だとフレームレートの落ち込み方がマイルドになったり、カクつき方が減ったりすることがあります。
どんな人にX3Dが向いてる?
ここからは後半っぽい内容になりますが、まず一番分かりやすいのは
「PCの用途の中心がゲームになっている人」です。
その中でも、
- フレームレートや入力遅延にこだわる対戦ゲーマー
- WQHD以上+高リフレッシュレートモニターを使っている人
- GPUにしっかり投資していて、その実力を引き出したい人
こういう人には、X3Dはかなり相性がいいです。
また、ゲーム配信も視野に入れている場合、X3Dの余裕はそのまま安定性につながります。OBSやブラウザ、チャットアプリなど、裏で動くソフトが多い状態って、思った以上にCPUを消費するんですよね。そういう場面で「ゲーム+周辺のアプリ」をまとめて支えてくれる土台として、X3Dは頼りになります。
逆に、X3Dがベストとは言えないケース

一方で、「とりあえずX3Dを選んでおけば全部最強」というわけではありません。
動画編集や3Dレンダリング、プログラミング用のビルド処理など、クロックやコア数をフルに使う作業がメインになる場合は、通常版Ryzenのほうが素直に性能が出ることも多いです。
X3Dが苦手というより、「その用途ならキャッシュよりクロックやコア数重視のほうが理にかなっている」というだけの話なので、ここは自分の使い方を一度整理してから選ぶのが安心です。
どの「X3D」を選ぶのが現実的?
具体的なモデル選びで迷ったら、まずは7800X3Dを基準に考えるのが分かりやすいです。
ゲーム用としての完成度が高く、価格と性能のバランスも良いので、「とりあえずこれを軸にして他と比べる」という立ち位置にしやすいCPUです。
もう少し幅広く使いたい人、たとえば
- ゲーム+配信+マルチタスク
- ゲームもするけど、重めのソフトもそれなりに使う
という場合は、9950X3Dのような上位モデルも候補に入ってきます。
こちらはキャッシュに加えてコア数にも余裕があるので、「ゲームは妥協したくないけど、それ以外もちゃんとやりたい」という欲張りな使い方に向いています。
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冷却と注意点について

X3Dだからといって、熱の問題から完全に解放されるわけではありません。
クロックが控えめとはいえ、ゲーム中は普通に温度が上がりますし、ケース内のエアフローが悪ければ性能の伸びにも影響が出ます。
ミドルクラス以上の空冷クーラーか、それに相当する簡易水冷を用意しておくと、長時間のゲームでも安心して使いやすくなります。
世代によって内部構造や挙動が少しずつ違うので、レビューを見るときは「どの世代のX3Dか」だけ軽くチェックしておくと、情報のズレを防ぎやすいです。
まとめ:ゲーム中心ならX3Dは有力な選択肢
RyzenX3Dシリーズは、スペック表だけ見ているとちょっと分かりづらいCPUですが、中身を整理してみると「ゲームに向けてとことん最適化されたRyzen」という立ち位置が見えてきます。
万能型の通常版Ryzenと、ゲーム特化型のX3D。
どちらが上か下かではなく、自分の用途に合っているほうを選ぶのが大事です。
もし今のPCの用途を振り返ってみて「気づいたらゲームばかりしているな」と感じるなら、次に組むときはX3Dを候補に入れてみると、今までとちょっと違った快適さを味わえるかもしれません。
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