はじめに──気になるのは「結局どのクラスなのか」
中国メーカーから新しいGPUが出ると聞くと、真っ先に気になるのは「で、どのクラスなの?」というところだと思います。
今回取り上げるLisuan(リスアン)のLX 7G106も、まさにそこが知りたくなる1枚です。
12GB GDDR6にDirectX 12対応、独自設計の「TrueGPU天図」アーキテクチャ、さらにNRSSという独自の超解像技術まで打ち出してきています。
ただ、2026年3月の時点ではまだ発売前で、第三者によるレビューも出そろっていません。
Lisuanが発表している発売予定は2026年6月18日、予約開始は3月17日とのことです。
なので今回は、いま公開されている情報を整理しながら、RTX 4060・RTX 5060・Radeon RX 9060 XTと並べたときにどのあたりに位置するのかを、分かる範囲で冷静に見ていきます。
この記事は2026年3月時点の公開情報をもとにしています。Lisuan LX 7G106は未発売で、独立したベンチマークもまだありません。スペックの数値はあくまで参考として読んでください。
Lisuan LX 7G106ってどんなGPU?
Lisuan Techの公式サイトでは、消費者向けカードを「LX 7G100シリーズ」として紹介しています。
まずは公式で確認できる情報と、報道で補われている情報を分けて整理しておきます。
公式サイトで確認できるもの
- VRAM:12GB GDDR6
- 映像出力:DisplayPort 1.4a × 4、8K 60Hz HDR対応
- API:DirectX 12、Vulkan 1.3、OpenGL 4.6、OpenCL 3.0
- インターフェース:PCIe 4.0、Resizable BAR対応
- 独自技術:TrueGPU天図アーキテクチャ、NRSS(独自超解像)
報道ベースで出ている情報
「7G106」という呼び方や、6nmプロセス、24TFLOPS、192基のTMU、96基のROP、192-bitバス幅といった細かい数値は、現時点では主に海外メディアの報道で補われているものです。
公式と報道で情報の出どころが違う部分があるので、この記事ではどちらの情報かを都度明記していきます。
スペック比較表──RTX 4060・RTX 5060・RX 9060 XTと比較
| 項目 | Lisuan LX 7G106 | GeForce RTX 4060 | GeForce RTX 5060 | Radeon RX 9060 XT 16GB |
|---|---|---|---|---|
| 発売時期 | 2026年6月18日予定 | 2023年6月29日 | 2025年5月19日 | 2025年6月 |
| アーキテクチャ | TrueGPU天図 | Ada Lovelace | Blackwell | RDNA 4 |
| VRAM | 12GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR7 | 16GB GDDR6 |
| メモリバス幅 | 192-bit(報道) | 128-bit | 128-bit | 128-bit |
| 理論性能の目安 | 24TFLOPS(報道) | 15TFLOPS | 614 AI TOPS / 58 RT TFLOPS | 25.6TFLOPS |
| 超解像・FG | NRSS | DLSS 3.5 / FG | DLSS 4 / Multi FG | FSR 4 / FMF / HYPR-RX |
| TDP / TBP | 未公表 | 115W | 145W | 160W |
※Lisuanの24TFLOPS・192-bit・6nmなどは報道ベース。RTX 4060/5060はNVIDIA公式、RX 9060 XTはAMD公式の仕様です。
表だけ見ると、LisuanはVRAM 12GBでRTX 4060の8GBより多く、バス幅も192-bitで広い。24TFLOPSという数字もかなり強気です。
ただ、ここで気をつけたいのは、RTX 4060やRTX 5060、RX 9060 XTはすでにドライバもゲーム対応も成熟しているのに対して、Lisuanはまだ発売前だということ。紙の上の数字だけで性能の優劣を語るのは、この段階ではまだ早いです。
RTX 4060・RTX 5060・RX 9060 XTと比べるとどう見えるか
RTX 4060──いちばん意識している相手
比較対象として最もしっくりくるのはRTX 4060です。
RTX 4060は8GB GDDR6、128-bit、15TFLOPSで、DLSS 3.5とFrame Generationに対応した1080p向けの定番カード。
対するLisuan LX 7G106は、報道ベースとはいえ12GB・192-bit・24TFLOPSと、数字の上ではかなり上回っています。
位置づけとしては、「RTX 4060クラスを強く意識した中国製GPU」と見るのが自然です。
海外メディアでも、4060クラスの比較対象として扱う記事が出ています。
RTX 5060──機能面の差がかなり大きい
RTX 5060まで比較に入れると、見え方がだいぶ変わります。
RTX 5060はBlackwell世代で、3840 CUDAコア、8GB GDDR7、DLSS 4.5にMulti Frame Generation、Reflex 2、PCIe Gen 5対応と、機能面の新しさが突出しています。
VRAM容量だけならLisuanの12GBのほうが多いですが、フレーム生成やアップスケーリングの完成度、対応タイトルの数、ドライバの安定性まで含めると、完成品としてはRTX 5060がかなり先を行っています。
RX 9060 XT 16GB──理論性能は近いが、総合力で差がつく
AMD側の比較対象としてはRX 9060 XT 16GBが分かりやすいです。
RDNA 4世代で25.6TFLOPS、16GB GDDR6、FSR 4やFluid Motion Framesも搭載。理論演算性能だけで見れば、Lisuanの24TFLOPSとかなり近い水準にあります。
ただ、VRAMはRX 9060 XTが16GBで上。さらにAPI対応やドライバ、既存ゲームとの互換性まで含めた総合力では、現状AMD側がかなり有利です。
Lisuanは新勢力として面白い存在ですが、実用面での完成度はRX 9060 XTのほうが高い、というのが今の見え方です。
TrueGPU天図アーキテクチャ──分かっていることと、まだ見えないこと
Lisuanは自社設計をかなりはっきり打ち出していて、命令セットから計算コアまで完全自社設計、さらに自社のソフトウェアスタックまで用意していると説明しています。
公開されている技術的な特徴
技術ページで挙げられているのは、こんな内容です。
- 智能多任务处理:依存関係のないタスクを最大48個同時に実行
- 智能乱序渲染:三角形の描画順序を崩して効率を上げる
- FP32/INT32の双発行
- メモリレイアウト最適化:行列データの格納効率を改善
- 負荷分散の自動化
この説明だけを見ると、RTやAI専用ブロックを前面に出すタイプというよりは、汎用シェーダーの効率と帯域、タスクの振り分けで勝負する方向に見えます。
まだ見えていない部分
ただ、NVIDIAやAMDのようにキャッシュ階層の詳細やRT専用ブロックの構造、AI推論ハードの仕組みまで公開されているわけではありません。
| 区分 | 分かっていること | まだ分からないこと |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | 自社設計、DX12/Vulkan 1.3対応、48タスク同時実行、乱序レンダリング、双発行 | キャッシュ階層、RT専用ブロックの構造、AI専用ハードの詳細 |
| NRSS | FP16/INT8ベースの独自超解像、50%以上のfps向上を謳っている | テンポラル処理の有無、モーションベクター利用、フレーム生成機能の有無 |
| 実性能 | メーカー公表値ではRTX 4060級以上を狙う数字 | 独立レビュー、ゲームごとの安定性、ドライバの完成度 |
今の段階では、「PC向けのディスクリートGPUで、設計の性格はどちらかと言えばAMD寄り」くらいの理解がちょうどいいと思います。
NRSSはどんな超解像技術なのか
NRSSは、Lisuanが独自に開発しているアップスケーリング技術です。
公式の技術ページによると、7G106に内蔵されたFP16/INT8の演算能力を使い、低解像度を高解像度に拡大することで50%以上のfps向上を目指す、とされています。
NVIDIAのDLSSやAMDのFSRに対抗する技術として位置づけられています。
ここから分かるのは、NRSSがただのシャープネス強化付きアップスケーラーではなく、少なくとも低精度演算を使ったAI寄りの超解像だということです。
ただ、中身はまだほとんど見えていません。テンポラル処理(前のフレームの情報を使う仕組み)があるのか、モーションベクターを参照するのか、DLSS 3やDLSS 4のようにフレーム生成まで含むのかは、公開情報だけでは判断できません。
魔理沙NRSSって、DLSSやFSRと同じようなものなのか?
霊夢方向性としてはFSRよりAI寄りに見えるけど、DLSSほど詳しい仕様は出ていないのよね。感触としてはIntelのXeSSからDLSS寄り、くらいの印象だけど、実際の画質や対応タイトルは発売後のレビューを見ないと何とも言えないわよ

メーカー公表のベンチマーク──どう読むべきか
Lisuanは発表の中で、いくつかのベンチマーク結果を公開しています。
| ベンチマーク / タイトル | メーカー公表値 |
|---|---|
| FireStrike | 26800 |
| Steel Nomad | 2268 |
| 黒神話:悟空 | 1080p高設定で平均70fps超 |
| その他 | Cyberpunk 2077ほか人気Steamタイトルの動作をアピール |
数字を見るとなかなか期待したくなりますが、これはあくまでメーカーが自分で出している参考値です。
テスト条件(ドライバのバージョン、設定内容、測定方法)が第三者に検証されていない以上、そのまま受け取るのはまだ早いです。
海外メディアでも、今はまだ独立ベンチマークが足りていないという見方が主流です。
魔理沙メーカーが出してる数字って、そのまま信じていいのか?
霊夢参考にはなるけど、鵜呑みにするのは早いわね。NVIDIAやAMDのカードだって、最終的な評価は独立メディアの実測で決まるでしょ? Lisuanも同じで、発売後に第三者がちゃんとテストしてから判断するのが確実よ
ここまでの情報で見える立ち位置
ここまでの内容を踏まえて、Lisuan LX 7G106の現時点での立ち位置を整理しておきます。
注目できるところ
- 12GB GDDR6で、RTX 4060(8GB)よりVRAMが多い
- バス幅192-bitで、RTX 4060/5060/RX 9060 XT(いずれも128-bit)より広い(報道ベース)
- 24TFLOPSはRX 9060 XT(25.6TFLOPS)に近い水準(報道ベース)
- TrueGPU天図やNRSSなど、独自技術を自社で開発している本気度
まだ見えていないところ
- アーキテクチャの内部構造やNRSSの詳しい仕様
- 独立メディアによる実測レビュー
- ドライバの安定性や既存ゲームとの互換性
- RTX 5060やRX 9060 XTは機能面もエコシステムも大きく先行している
スペックの数字だけなら面白い存在ですが、実際に買って使う立場で考えると、ドライバやゲーム対応の成熟度がまだまったくの未知数です。
ここが埋まるかどうかで、このGPUの評価は大きく変わってきます。
まとめ:面白い新勢力だけど、本当の評価はこれから
Lisuan LX 7G106は、話題先行だけの製品ではなさそうです。
12GB GDDR6、DirectX 12対応、独自アーキテクチャに独自超解像まで揃えていて、中国製GPUとしてはかなり本気の1枚に見えます。
ただ、2026年3月時点ではまだ発売前。内部のアーキテクチャもNRSSの詳細も、十分には見えていません。
今の段階でいちばんしっくりくる見方は、「RTX 4060クラスを狙う中国製GPUとしてはかなり面白い。ただ、RTX 5060やRX 9060 XTと正面から比べるには、発売後の実測レビューを待つ必要がある」というものです。2026年6月の発売後、独立ベンチマークが出そろってから改めて判断するのが、いちばん失敗のない向き合い方だと思います。




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