はじめに:PCIe 5.0って本当に必要?

マザーボードや最新のSSD、GPUのスペック欄を見ていると、必ず出てくる「PCIe 5.0対応」という文字。
でも実際、「PCIe 4.0と5.0って、そんなに違うの?」と思う人は多いはず。
確かに数字だけ見ると、5.0は4.0の2倍速!
でも、体感としてその違いを感じるかといえば……正直、ほとんどの人は「変わらない」と答えると思います。
この記事では、2025年現在のGPUやSSDの実情を踏まえて、
「PCIe 5.0はどんな人にとって意味があるのか?」を、体感・実使用の視点で整理していきます!
PCIeとは?かんたんにおさらい

まず、PCIe(ピーシーアイ・エクスプレス)とは何かを軽く整理しておきましょう。
これは、GPUやSSD、LANカードなどをマザーボードに接続するための拡張スロット規格のこと…
PCIe 4.0では1レーンあたりの理論帯域が16GT/s(約2GB/s)。
PCIe 5.0になると32GT/s(約4GB/s)に倍増します!
つまり、通信速度そのものは確かに大きく進化しているんです。
ただし、理論値が速い=体感も速い、とは限りません。
GPU編:グラボの性能には影響ある?

結論から言うと、現行のGPUではPCIe 4.0と5.0の差はほとんどありません…。
最新のGeForce RTX 5090やRadeon RX 9070 XTといったハイエンドモデルでも、
PCIe 4.0 x16接続で十分に性能を発揮します。
実際に同じGPUをPCIe 4.0スロットと5.0スロットで比較しても、平均フレームレートの差はおおむね1〜4%程度にとどまります。つまり、ベンチマーク上では数値的にわずかな差が出ることもありますが、体感ではほぼ変わらないレベルです…
PCIe 3.0時代ならまだ差がありましたが、4.0以降では帯域が十分すぎるんですね。
一部で「低帯域時の最低fpsが少し安定する」という話もありますが、
それはシステム全体の調整(メモリやCPU)に左右される要素が大きく、
PCIe規格そのものが原因とは言いづらいレベルです。
要するに、今のGPU性能では4.0の帯域で十分すぎるということ。
SSD編:Gen5 SSDは「速いけど使いこなせない」

一方で、SSDの世界ではPCIe 5.0の効果が一見わかりやすいです。
実際、Gen5対応NVMe SSDはリード速度が12,000MB/s超えに達しており、
数字上はPCIe 4.0 SSDの約2倍。
ただし――体感はほとんど変わりません。
Windowsの起動、アプリの立ち上げ、ゲームロード……
これらの処理は、実際にはランダムアクセス性能や最適化の影響が大きく、
帯域が倍になっても体感差は数秒どころか「1秒未満」程度なんです。
たとえば、4.0世代のSSDでも起動は5秒前後、
5.0にしても4秒台になるかどうか。
つまり、「理論値では2倍、体感では誤差」です…
ただし、扱うデータが大きい人には違いが見え始めています。
4K〜8Kの動画編集やAIモデルの学習など、数十GB単位のデータを読み書きする作業では、PCIe 5.0 SSDの高速転送が明確に効きます。特にRAW映像や学習データの処理では、コピー時間やキャッシュの書き戻しが短縮される場面もあります。
・おすすめのPCIe 5.0 SSD
放熱と発熱の現実

PCIe 5.0対応SSDを実際に使う上で注意したいのが、発熱問題です。
Gen5 SSDは速度が上がった分、コントローラーの発熱もかなり増えました。
小型のヒートシンクでは熱が逃げきれず、サーマルスロットリングが発生することもあります。
最近では、マザーボード側にアクティブクーラー(小型ファン付きヒートシンク)を搭載する機種も出てきました。
ただし、Gen5 SSDは熱設計がシビアで、十分な冷却がないと速度低下(サーマルスロットリング)が発生します。
静音性や安定動作を重視する人は、PCIe 4.0 SSDを選んだほうが快適なケースも多いです。
・おすすめのPCIe 4.0 SSD ▶
ライトユーザーにとっては、静音性とのトレードオフになるので、
PCIe 4.0の安定したSSDを選ぶ方が快適なケースも多いです。
・冷却について詳しく知りたい方はこちら

拡張カードや将来性は?
では、GPUやSSD以外の分野ではどうでしょうか?
PCIeスロットは拡張カードにも使われます。
たとえばキャプチャカードや10GbE LANカード、AIアクセラレーターなど。
これらはデータのやり取りが多いため、帯域が広いPCIe 5.0の恩恵を受けやすい構造ではあります。
ただし、2025年の今でも多くの拡張カードはPCIe 4.0で十分。
現行のキャプチャカードも、PCIe 3.0 x4で足りてしまうものが大半です。
つまり「PCIe 5.0必須の周辺機器」はまだまだごく一部…。
一部のAI開発ボード(たとえばNVIDIAのHGX向けや、産業向けFPGAカード)では帯域を活かせますが、これは完全にプロ用途の世界です。
PCIe 5.0対応マザーボードの現状

最新のIntel 15世代(Arrow Lake)やAMD Ryzen 9000シリーズ対応マザーボードは、どちらもPCIe 5.0スロットを備えています。
ただし、全スロットが5.0対応というわけではない点に注意。
多くのマザーでは、
- GPU用のx16スロットが5.0対応
- M.2スロットの一部が5.0対応
という構成が主流です。
一方で、SSDスロットを5.0に割り当てるとGPUスロットが4.0動作になるような、レーン共有の制約も存在します。
つまり、マザーボードの設計次第では「どちらかを優先する」必要があるんです。
このあたりは「対応していれば全部速くなる」という単純な話ではなく、
帯域の配分設計を理解しておくのがポイントですね!
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将来、本当に必要になるのはいつ?
今後PCIe 5.0が本格的に必要になるとしたら、
GPUのデータ転送量が現行の倍以上に膨らむタイミングです。
AI演算や大規模シミュレーションでは、
GPUとCPUの間でやり取りするデータ量が急増しています。
そのため、研究・開発向けのサーバーではすでにPCIe 5.0が当たり前になっています。
しかしコンシューマー向けではまだ先の話。
たとえば次世代の「RTX 6000番台」「RX 10000番台」が登場して、
初めて5.0の帯域が性能面で意味を持つかもしれません。
つまり、今買うなら4.0でも全然困らないというのが現時点の結論です。
それでもPCIe 5.0を選ぶ価値がある人
ここまで聞くと「じゃあ4.0で十分じゃん」と思うかもしれません。
でも、一部の人にとっては5.0を選ぶ意味があります。
こんな人たちです👇
- 最新のGen5 SSDを試してみたい人
- 動画編集やAI学習など、大容量データを扱うクリエイター
- 将来GPUを買い替えてもマザーを使い回したい人
こうした人にとっては、保険としての価値があります。
いまはオーバースペックでも、数年後のアップグレードで生きる可能性があるんですね。
結論:今はあると安心、なくても困らない
PCIe 5.0は確かに技術的には進化しています。
ただ、現時点での体感差はごくわずか。
GPUもSSDも、PCIe 4.0で性能をほぼ使い切っているのが現実です。
それでも、PCIe 5.0対応マザーボードを選ぶこと自体は悪くありません。
「数年後に活きるかもしれない」という意味では、将来性という保険になる。
ただし――
「今すぐ必要か?」と聞かれたら、答えはNOです。
現状では、
- コスパを重視するならPCIe 4.0
- 将来を見据えるならPCIe 5.0
このくらいの温度感で選ぶのがちょうどいいです。
今はまだ、「5.0じゃないと困る」ほどの時代ではありません。
けれど、5.0対応が当たり前になる未来はもう目の前!
今後登場するGPUやSSDが、その帯域を本気で使い切る日を楽しみに待ちましょう!!
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