先日、DLSS 4.5の内容をまとめましたが、その後のComputex 2026で追加の発表がありました。
それが今回紹介する「DLSS 4.5 Ray Reconstruction(レイ・リコンストラクション)」です。
DLSSやレイトレーシングという言葉は聞いたことがあっても、Ray Reconstructionまではよく分からない、という方は多いと思います。名前だけ見るとちょっと難しそうですよね。
でも中身を知ると、やっていることは意外とシンプルです。今回はこのRay Reconstructionが何をする機能なのか、初心者の方にも分かるように噛み砕いて解説していきます。

そもそもRay Reconstructionとは何か
Ray Reconstructionの話に入る前に、まずレイトレーシングのちょっとした弱点から説明させてください。ここが分かると、Ray Reconstructionの存在意義がスッと頭に入ってきます。
レイトレーシングは、光や反射、影を物理的に計算して、リアルな映像を作り出す技術です。
現実世界の光の進み方を再現するので、水たまりの映り込みや、差し込む光の質感がとても自然になります。
ただ、ここに大きな問題があります。
光の計算は、本来とんでもない量の計算が必要なんです。
画面のすべてのピクセルに対して、光がどこから来てどう跳ね返るかを完璧に計算しようとすると、どんなに高性能なGPUでも処理が追いつきません。
そこで実際のゲームでは、光線を一部だけ飛ばして、足りない部分は後から補うという方法が取られています。全部は計算しきれないので、サンプルを間引いて処理しているわけですね。
その結果どうなるかというと、計算しきれなかった部分にザラついたノイズや、チラチラした揺らぎが出てしまいます。
特に反射や影の部分は、そのままだと砂嵐のような粒状感が残ってしまうんです。
このノイズだらけの状態を、なんとか綺麗な映像に整える必要がある。そこで登場するのが「デノイザー」という処理です。
デノイザーとは何か

デノイザーは、その名の通りノイズ(noise)を取り除く(de)処理のことです。
レイトレーシングで出てきたザラついた映像を受け取って、「本来はこういう滑らかな映像になるはず」と整えてくれる仕組みだと思ってください。
ポイントは、デノイザーが少ない情報からきれいな映像を推測して作り上げているという点です。
さっき説明した通り、レイトレでは光線を間引いて処理しています。つまりデノイザーの手元には、完璧な情報ではなく、穴あきの不完全な映像しか届いていません。
その穴あきの情報から、「この辺はこういう光になっているはず」と埋めながら、滑らかな映像に仕上げているわけです。
例えるなら、虫食いだらけの絵を見て、「ここはたぶんこういう模様だろう」と補完しながら全体像を描き起こすような作業ですね。
従来は、ゲームエンジン側やタイトルごとに用意されたデノイザーでノイズを処理していました。
ただ、こうした調整型のデノイザーには限界もあって、シーンによっては反射がぼやけたり、細かい光の表現が不安定になってしまうこともありました。
Ray Reconstructionで何が変わるのか

ここでようやくRay Reconstructionの出番です。
Ray Reconstructionは、ざっくり言うと従来のゲーム側デノイザーを、NVIDIAのAIモデルで置き換える機能です。
これまで調整型のデノイザーが担当していた処理の代わりに、NVIDIAがスーパーコンピューターで学習させたAIネットワークが、ノイズの整理を担当します。タイトルごとの調整に頼るよりも、AIのほうが賢く映像を再構築できる、というのがこの機能の核心です。
具体的には、以下のような部分がより自然に見えやすくなります。
- 水面や金属などの反射
- 物の落とす影
- 壁や床から跳ね返ってくる間接光
- 光が当たる部分の細かい質感
レイトレで一番ノイズが出やすいのがこういった光まわりの表現なので、そこをAIが綺麗に整えてくれる、というイメージです。
さらにRay Reconstructionには、もう一つ大事な特徴があります。ノイズを除去するデノイザー処理を、Super Resolution(解像度を上げる処理)などのDLSS処理と組み合わせて、より整合性の取れたレイトレ映像を作り出す点です。バラバラに処理するのではなく、まとめて扱うことで、不自然さの少ない映像に仕上げています。
ちなみにRay Reconstruction自体は新しい機能ではなく、2023年のDLSS 3.5で初めて登場しました。今回はそれが第2世代へと進化した、という位置づけになります。
DLSS 4.5版での進化
今回発表されたDLSS 4.5 Ray Reconstructionは、第2世代のトランスフォーマーモデルを採用しています。トランスフォーマーというのは、近年のAIで主流になっている賢い処理方式のことで、画像生成や言語処理など幅広い分野で使われているものです。
難しい話は抜きにして、何が良くなるのかを整理します。
より効率的なデノイザー
新しいモデルは、従来より35%多い計算処理を行い、20%多いパラメータを扱いながら、処理の重さは従来モデルに近いパフォーマンスを維持すると説明されています。要するに、同じくらいの負荷感の中で、より賢い処理ができるようになった、ということですね。
シーンごとの文脈理解が深くなった
DLSS 4.5 Ray Reconstructionは、シーン全体に対する空間的な認識が深くなっています。
画面のどこに何があって、光がどう当たっているのか。そういった場面の文脈をより深く理解した上で、ゲームエンジンが持っているピクセルの情報や、物の動きの情報を賢く活用します。
その結果、光の表現の正確さが上がり、動いたときの映像の安定性も向上します。
高忠実度のデータで学習
新しいモデルは、より大規模で質の高いデータセットで学習しています。たくさんの高品質な映像を学ばせることで、映像を再構築する精度がさらに上がっているわけです。
これらをまとめると、DLSS 4.5 Ray Reconstructionは光や反射の細かい破綻を減らし、動いたときの見え方も安定させる方向の進化だと言えます。特に、これまで気になっていたゴースト(残像)の問題が大きく改善されると発表されています。
どんなゲームで意味があるのか
Ray Reconstructionが意味を持つのは、レイトレーシングやパストレーシングを使っているゲームです。
そもそもこの機能は、レイトレで発生するノイズを整えるためのものです。なので、レイトレを使っていないゲーム、つまり通常描画(ラスタライズ)中心のゲームでは、大きな差が出る機能ではありません。
最近だとサイバーパンク2077のパストレーシングや、レイトレを多用するタイトルが分かりやすい例です。
こういった「光の表現にこだわったゲーム」ほど、Ray Reconstructionの恩恵が大きくなります。
逆に、軽めの2Dゲームや、レイトレ非対応のタイトルでは、この機能をオンにしても意味がありません。
自分が遊んでいるゲームがレイトレやパストレに対応しているかどうかが、Ray Reconstructionを使うかどうかの判断基準になります。
▼ 対応予定タイトル一覧
| Alan Wake 2 | Enlisted | NTE(Neverness to Everness) |
| Avatar: Frontiers of Pandora | EVERSPACE 2 | Portal with RTX |
| Backrooms: Escape Together | F1 25 | PRAGMATA |
| Call of Duty: Black Ops 7 | FBC: Firebreak | Resident Evil Requiem |
| Crimson Desert | Half-Life 2 RTX | Samson |
| Cyberpunk 2077 | Hogwarts Legacy | Star Wars Outlaws |
| Death Relives | Incursion Red River | Subliminal |
| Directive 8020 | Indiana Jones and the Great Circle | Sword of Justice |
| DOOM: The Dark Ages | NARAKA: BLADEPOINT | The First Descendant |
RTX 20/30/40/50シリーズで使える
DLSS 4.5 Ray Reconstructionは、RTX 50シリーズ専用ではありません。GeForce RTX 20、30、40、50シリーズすべてで使える機能として発表されています。
DLSSの新機能というと「最新世代のGPUじゃないと使えないのでは」と身構えてしまいますが、Ray Reconstructionに関しては、RTX世代全体で使える画質改善機能になっています。
つまり、数年前に買ったRTX 20シリーズや30シリーズを使っている方でも、対応タイトルであればこの画質改善の恩恵を受けられる、ということです。
古いRTXカードを使い続けている方には朗報ですね。
ただし、実際に使えるかどうかはゲーム側の対応状況や、NVIDIA App経由での展開状況にもよります。
「RTX世代なら無条件でどんなレイトレゲームでも使える」というわけではなく、あくまで対応タイトルが対象になる点は押さえておいてください。
なお有効化の方法は2通りあって、NVIDIA Appから設定する方法と、ゲーム側がネイティブ対応している場合にゲーム内で設定する方法があります。リリースは2026年8月の予定ですね。
まとめ
DLSS 4.5 Ray Reconstructionは、fpsを増やすための機能ではありません。
これはあくまで、レイトレーシングやパストレーシングの映像を、AIの力でより自然に整えるための画質改善機能です。
フレームレートを直接伸ばす機能ではなく、レイトレ映像の見え方を整える方向の機能だと考えてください。
レイトレで出てしまうザラついたノイズを、従来のゲーム側デノイザーよりも賢いNVIDIAのAIモデルで整える。それによって反射や影、間接光がより自然になり、動いたときの映像も安定する。
これがRay Reconstructionの役割です。
しかもRTX 20シリーズから50シリーズまで幅広く対応しているので、レイトレ対応ゲームを遊んでいる方なら、世代を問わず画質アップの恩恵を受けられます。
レイトレやパストレを使ったゲームを綺麗な映像で楽しみたい方は、2026年8月のリリースを楽しみに待ちたいところです。





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