同じようなゲームが遊べるのに、ゲーム機はゲーミングPCよりずっと安く買える。
PCゲームを始めようとして、この価格差に驚いた人は多いと思います。
ただ、2026年4月の値上げで、PS5の通常版は97,980円、PS5 Proは137,980円になりました。
2020年11月の発売時は54,978円だったので、約1.8倍です。
ゲーム機を安く売るための仕組みはどんなもので、なぜ2026年は値上げが続いているのか。
価格差が生まれる理由を、ビジネスモデルと製造の両面から整理します。
ゲーム機が安く売られてきた3つの仕組み
ゲーム機が安い理由は、ひとつではありません。
本体の売り方、チップの作り方、ゲームの作られ方という、性質の違う3つの仕組みが重なっています。
本体の赤字をソフトやサービスで回収する
1つ目は売り方です。
ソニーは2021年、PS5本体を製造コストより低い価格で販売していたことを決算資料で公表しています。
競合機を意識した「戦略的な価格」として、意図的に原価割れの価格を付けていたわけです。
その後、ディスクドライブ搭載版は発売から半年ほどで損益分岐に達する見込みと説明されました。
本体で出た損失は、ゲームソフトの販売、他社ソフトから得るライセンス料、PS Plusのようなサブスクリプションで回収します。
本体を買ってもらえれば、その後何年もソフトやサービスで収益が入る、という考え方です。
ただし、すべてのゲーム機が赤字で売られているわけではありません。
任天堂は世界全体で、本体を赤字で販売することはできる限り避ける方針を取っています。
赤字販売はメーカーや時期によって使われる戦略のひとつ、と捉えておくのが正確です。
CPUとGPUを1つのチップにまとめて大量生産する
2つ目は作り方です。
PS5は、CPUとGPUを1つのチップにまとめた専用設計のSoCを搭載しています。
メモリもCPUとGPUで共有する構成です。
この同じ構成を世界中で数千万台規模で作るため、部品をまとめて調達でき、1台あたりのコストを下げやすくなります。
一方、ゲーミングPCはCPU、グラボ、マザーボード、メモリ、電源、ケースをそれぞれ別のメーカーが作っています。
部品ごとに各社の利益が乗り、BTOパソコンなら組み立てや保証のコストも加わります。
Windows搭載PCの場合は、Windowsのライセンス料もかかります。
同じ程度の処理性能でも、部品を集めて作るPCの方が価格は高くなりやすい構造です。
ハードが固定だからゲームを最適化しやすい
3つ目は、価格ではなく性能の引き出し方の話です。
PS5にはPS5 Proという上位モデルもありますが、通常のPS5は基本的なハードウェア仕様が共通しています。
ゲーム開発者はその構成を想定して調整できるので、限られた性能を無駄なく使えます。
PCは、CPUもグラボもメモリも人によってバラバラです。
どの構成でも動くように作る必要があり、特定の構成に合わせ込んだ調整はゲーム機ほどしにくくなります。
結果として、同じ見た目と滑らかさを得るのに、PCの方が余裕のある性能を求められる場面があります。
これは本体価格を下げる仕組みではありませんが、「この値段でここまで動く」と感じる理由のひとつです。
霊夢安さの理由は、売り方と作り方と、ゲームの作られ方の3つに分かれるのね
魔理沙全部ひとまとめに『ゲーム機は赤字だから安い』って思ってたぜ
霊夢赤字販売はそのうちのひとつよ。任天堂みたいに赤字を避けるメーカーもあるし、チップをまとめて大量に作る効果は別の話なの
魔理沙理由が別々なら、値上げで崩れる部分も別々ってことか
ゲーム機とPCの価格を比べるときの注意点
価格を比べるときに、グラボの型番だけで「PS5相当のPC」を決めるのはおすすめしません。
ゲーム機のゲームは、解像度を動的に変える仕組みや、機種ごとに調整された画質設定で動いていることが多いからです。
PC側で比べるなら、少なくとも次の条件を揃える必要があります。
- 比較するゲームタイトル
- 解像度と画質設定
- 目標とするfps
- アップスケーリングの有無とモード
条件が違えば、「PS5相当」に必要なPCの構成も価格も大きく変わります。
具体的な構成と価格の比較は、こちらの記事でまとめています。
→ Steam Machine 19万円は高いのか?同等スペック自作PCとPS5 Pro・Switch 2で徹底価格比較
2026年、ゲーム機の価格はどこまで上がったのか
2026年10月時点の国内価格は、次のとおりです。
| 機種 | 国内価格(税込) |
|---|---|
| PS5 | 97,980円 |
| PS5 デジタル・エディション 日本語専用 | 55,000円 |
| PS5 Pro | 137,980円 |
| Nintendo Switch 2 日本語・国内専用 | 59,980円 |
| Xbox Series X | 117,980円 |
| Xbox Series S 512GB | 82,480円 |
PS5は2022年から段階的に値上げされ、2026年4月で国内4度目の値上げになりました。
Nintendo Switch 2の日本語・国内専用モデルも、2026年5月に59,980円へ値上げされています。
値上げの背景にあるメモリ価格の高騰
ソニーは値上げの理由として、世界的な経済環境の厳しさが続いていることを挙げています。
その中で大きな要因とされているのが、メモリ価格の高騰です。
AIデータセンター向けの需要が急増し、メモリメーカーがそちらを優先した結果、一般向けの供給が逼迫しました。
2025年第3四半期には、DRAMの契約価格が前年比で170%以上上がったと報じられています。
ただ、関税や為替、部品全般のコスト上昇も重なっているので、メモリ高騰だけが値上げの原因とは言い切れません。
ここで押さえておきたいのは、メモリ高騰がPCとゲーム機の両方に同じように響いているという点です。
ゲーム機は、PCが抱えている部品コストの問題から逃れられなかったわけです。
日本語専用モデルだけが据え置きになっている
例外が、PS5デジタル・エディションの日本語専用モデルです。
通常版が値上げされる中、55,000円に据え置かれています。
本体の言語が日本語のみで、アカウントの地域も日本に限られるといった制限がありますが、基本的なゲーム性能は通常のPS5と共通です。
通常のデジタル・エディションとの差は、3万5000円近くまで開きました。
地域と用途を限定する代わりに、価格を抑えたモデルということです。
本体価格だけでは比べられないコスト
オンライン対戦には有料サービスが必要な場合がある
PS5でオンラインマルチプレイを遊ぶには、基本的にPS Plusへの加入が必要です。
最も安いエッセンシャルで、年額6,800円かかります。
ただし、基本プレイ無料のタイトルなど、加入しなくてもオンラインで遊べる例外もあります。
PCの場合、Steamなどのストア自体には、オンラインで遊ぶための月額料金はありません。
加入が必要かどうかは遊ぶゲーム次第ですが、加入する場合は数年単位で費用が積み重なります。
クラウドゲームを含めた選択肢については、こちらでも比較しています。
→ 2026年メモリ高騰時代のクラウドゲーム活用術|GeForce NOW・Xbox Cloud Gaming・PS Plus Premium徹底比較
Steam Machineは本体価格を補助しない売り方
対照的なのが、2026年に国内でも発売されたValveのSteam Machineです。
512GBモデルの価格は189,980円で、ゲーム機と比べるとかなり高く見えます。
ValveもSteamストアで販売手数料を得ていますが、ソフトの販売収益で本体価格を補助しない方針を示しています。
1台あたりの具体的な利益額は分かっておらず、利益幅をかなり小さく抑えているという説明もあります。
OSの入れ替えやSteam以外からのゲーム導入もできる開かれたPCなので、ゲーム機と同じ回収の仕組みが成り立ちにくい、という見方もあります。
ソフトやサービスの収益を使って本体価格を下げるかどうか。
この価格の付け方の違いも、ゲーム機とPCの価格差に関わっています。
2026年の今、ゲーム機はまだ安いのか
結論から言うと、購入価格だけで見れば、今でもゲーム機の方が安い場面は多くあります。
Switch 2の59,980円や、PS5日本語専用デジタル・エディションの55,000円で、同じくらい新作が快適に遊べるゲーミングPCを用意するのは難しいからです。
一方で、PS5通常版は97,980円、PS5 Proは137,980円、Xbox Series Xは117,980円まで上がりました。
ただ、PC側もメモリやSSDの値上がりが続いているので、ゲーム機とPCの価格差が以前より縮まったかどうかは一概に言えません。
比べるなら、遊ぶゲームや画質の条件を揃えたうえで、購入時点のゲーム機とゲーミングPCの価格を見比べる必要があります。
オンライン対戦の料金やソフト代も、加入するサービスや買うゲームによって、数年単位での差は変わります。
PCは仕事や配信、動画編集にも使えるので、ゲーム以外の用途があるなら評価は変わってきます。
なお、次世代機のPS6が2028〜2029年にずれ込む可能性も報じられていますが、これはソニーの公式発表ではありません。
次世代機を待つかどうかの判断材料にするには、まだ不確かな情報です。
予算別にゲーミングPCを選ぶ場合は、こちらも参考になります。
魔理沙結局、今はゲーム機とPCのどっちが安いんだ?
霊夢買うときの値段なら、Switch 2や日本語専用のPS5はまだかなり安いわ。通常のPS5やPS5 Proは値上げが続いてるから、PCと条件を揃えて比べてみる価値はあるわね
魔理沙機種によって答えが違うってわけだな
霊夢そう。それにオンライン料金やPCを他の用途に使えるかまで含めると、また見え方が変わるわね
まとめ
ゲーム機がPCより安く売られてきたのは、本体の赤字をソフトやサービスで回収する売り方、CPUとGPUをまとめた専用チップの大量生産、固定ハードによる最適化のしやすさが重なっていたからです。
ただし赤字販売はすべてのメーカーの方針ではなく、任天堂のように避けるメーカーもあります。
2026年はメモリ価格の高騰などを背景に値上げが続き、PS5は発売時の約1.8倍になりました。
変わったのはこうしたビジネスモデルそのものではなく、部品価格の上昇によって従来の価格を維持しにくくなった、という点です。
それでも、Switch 2や日本語専用のPS5のように、購入価格ではPCより明確に安い機種は残っています。
どちらが得かは、遊びたいゲーム、オンライン料金を含めた数年間のコスト、PCをゲーム以外にも使うかで変わります。


