NVIDIAが2026年秋に提供を予定しているDLSS 5で、正式リリース前からかなり面白い動きが出ています。
NBA 2K27のEarly Access版からDLSS 5のNeural Rendering用とみられるDLLが見つかり、Modderが既存ゲームへの導入に成功しました。
さらに、そのままではRTX 50シリーズでしか動かなかった流出版を修正し、RTX 4090やRTX 4080といったRTX 40シリーズでも動作。
RTX 4070を使った動作報告まで出ています。
RTX 50シリーズでなければDLSS 5を実行できないと思っていた人には、かなり気になる結果ではないでしょうか。
ただし、NVIDIAがRTX 40シリーズへの正式対応を発表したわけではありません。
今回確認できたのは、少なくとも流出したDLSS 5 Neural Renderingについては、Ada Lovelaceでも実行できたというところまでです。
そもそもDLSS 5がどんな機能なのか気になる方は、こちらの解説もあわせてどうぞ。
→ DLSS 5とDLSS 4.5の違いを徹底解説|NVIDIAが目指すAIニューラルレンダリングによる画質革命とは?
NBA 2K27からDLSS 5のDLLが見つかった
今回の発端は、NBA 2K27のEarly Access版から見つかったnvngx_dlssnr.dllです。
このDLLはDLSS 5で追加されるNeural Rendering用とみられており、発見後すぐにModderによる解析が始まりました。
その後、RenoDXやReShadeを利用してControlなどへ導入され、正式対応していない複数のゲームでDLSS 5 Neural Renderingを動かす実験が進んでいます。
RenoDXのようなMODツールについては、こちらでも詳しく扱っています。
→ DLSS Enablerとは?RTX 50シリーズ専用マルチフレーム生成を旧GPUで使えるMODツールの導入方法
ここで注意したいのは、現在出回っているものが正式版ではないことです。
正式リリース前のDLLを、本来DLSS 5へ対応していないゲームへ後から組み込んでいます。
現在の画質やフレームレートを、そのまま製品版DLSS 5の性能として見ることはできません。
RTX 40シリーズでもDLSS 5が動いた
流出したDLLは、そのままではRTX 50シリーズのBlackwellでしか動作しませんでした。
そこで気になるのが、RTX 40シリーズではDLSS 5を処理する能力が足りないのかという点です。
実際には、そう単純な理由ではありませんでした。
DLLの中にはBlackwell向けにコンパイルされたCUDAバイナリが含まれており、一部がAda Lovelaceではそのまま実行できない状態になっていました。
RTX Remix ModderのUncle Burrito氏は、Adaで動かないバイナリを特定し、対応するものへ差し替えています。
その結果、RTX 4090でDLSS 5 Neural Renderingが動作。
さらに海外メディアによる検証では、RTX 4080でも同じパッチが正常に機能することが確認されています。
つまり今回の流出版については、RTX 40シリーズではハードウェア的に実行できないから動かなかった、というわけではありませんでした。
霊夢RTX 50シリーズじゃないと、絶対に動かないわけではなかったのね
魔理沙今回の流出版では、Blackwell向けだった部分を直したらAdaでも実行できたわけだな
RTX 4070でも動作報告が出ている
RTX 4090やRTX 4080だけなら、上位GPUだから動いたとも考えられます。
ところが、その後はRTX 4070でも動作報告が出ています。
Gothic 1 RemakeでRTX 4070を使ったユーザーは、4KのVery High設定でDLSS 5 Neural Renderingを実行。
初期段階では25〜35fps程度でしたが、その後Mod側のメモリリーク修正などが入り、60fpsまで出たという追記も投稿されています。
ただし、この数値は同じ条件で測定されたベンチマークではありません。
Mod自体が更新されていますし、設定や動作条件も変化しています。
そのため、RTX 4070ならDLSS 5で60fps出せるという意味ではありません。
ここで重要なのは、RTX 4070クラスでもNeural Renderingそのものを実行できたことです。
RTX 4090だけの特殊な例ではなく、RTX 40シリーズの中で対応例が広がってきています。
お使いのGPUがどのクラスに位置するのか確認したい場合は、こちらの比較表も参考になります。
→ GPU性能比較表2026年版 NVIDIA RTXシリーズとAMD RXシリーズのスペック・ベンチマーク一覧
RTX 40シリーズで動かせた理由はFP8にもある
RTX 40シリーズのAda Lovelaceには、第4世代Tensor Coreが搭載されています。
今回流出したDLSS 5のAIモデルはFP8を利用しており、Ada LovelaceでもFP8を実行できます。
一方、最初のDLLにはBlackwell専用のCUDAバイナリが含まれていたため、そのままではAdaで動作しませんでした。
そこをAda向けに差し替えたことで、同じNeural Renderingモデルを動かせるようになったという流れです。
少なくとも今回の結果を見る限り、RTX 40シリーズにはDLSS 5 Neural Renderingを実行する能力自体はあります。
ただし、動かせることと、NVIDIAが正式対応することは別です。
ここは分けて考える必要があります。
RTX 4090でもフレームレートは約4割低下
実際に動いたとしても、気になるのは負荷です。
RTX 4090を使ったテストでは、DLSS 5 Neural Renderingを有効にすると、約135fpsから約82fpsまで低下しています。
およそ39%のフレームレート低下です。
かなり大きな負荷ですが、RTX 40シリーズだけが重いわけでもありません。
RTX 50シリーズを使った現在の実験でも、大幅なフレームレート低下が確認されています。
そのため、今のところはRTX 40だから遅いというより、現在の実験的なDLSS 5 Neural Rendering自体がかなり重いと考えた方がよさそうです。
もちろん、これも正式版の性能ではありません。
開発途中とみられるDLLを正式対応していないゲームへ導入した状態なので、NVIDIAが最適化した製品版とは条件が違います。
そもそもDLSS 5は何をする機能なのか
ここでDLSS 5について少し整理しておきます。
DLSSと聞くと、低い内部解像度から高解像度の映像を生成するSuper Resolutionや、AIで中間フレームを作るFrame Generationを思い浮かべる人が多いと思います。
このあたりの基本については、こちらでまとめています。
→ アップスケーリング徹底解説 DLSS・FSR・XeSSの違いとモード選びの基本
DLSS 5で追加されるNeural Renderingは、少し方向性が違います。
NVIDIAによると、DLSS 5はゲームから各フレームのカラー情報とモーションベクトルを受け取り、AIを使ってライティングやマテリアル表現を生成します。
キャラクター、髪、布、半透明の肌、周囲のライティング条件なども解析しながら処理します。
つまり、FPSを増やすためだけのDLSSではなく、AIを使ってゲームの見た目そのものを作り変える方向まで踏み込んだ機能です。
NVIDIA自身も、これまでパフォーマンス向上を中心としてきたDLSSを、画質そのものを変える方向へ進化させる技術として説明しています。
Neural Rendering単体でGPUへの処理が増えること自体は、不自然ではありません。
DLSS 4.5世代のRay Reconstructionなど、AIによる画質強化技術の流れについてはこちらも参考になります。
→ DLSS 4.5 Ray Reconstructionとは?レイトレ画質を進化させるAIデノイザーを初心者向けに解説
DLSS 5はゲームの見た目をどこまで変えるのか
現在のModを使った画像や動画では、キャラクターの顔や肌、光の当たり方がかなり変わる例も出ています。
元のゲームとは印象が違って見える場面もあり、DLSS 5の発表時から気になっていた人もいると思います。
ただし、現在のModを見て製品版DLSS 5も同じようになると判断するのは早いです。
NVIDIAの正式仕様では、ゲーム開発者がNeural Renderingの強度やカラーグレーディング、適用範囲のマスクを設定できます。
どこに、どの程度AI処理を使うのかを開発者側で調整できる仕組みです。
現在のModは、そもそもDLSS 5を想定していないゲームへ後から追加したものです。
正式対応タイトルでは、使われ方もかなり変わってくる可能性があります。
おまけ:RTX 30シリーズでも動いた。ただし4fps
RTX 40シリーズへの移植だけでも十分面白い話でしたが、その後さらにRTX 30シリーズまで動かす実験が始まりました。
AmpereにはAdaのようなネイティブFP8対応がないため、今回はSM86向けの実験的なFP16ビルドが使われています。
結果はかなり強烈です。
RTX 3080を使ったDeep Rock Galacticでは、Neural Renderingを有効にする前は約130fps。
有効にすると、約130fpsから4fpsまで低下しています。
RTX 3050やRTX 3060 Tiでは、ゲームによって1fps前後という報告も出ています。
一方、RTX 3080 Tiでは設定変更後に30fpsまで出た例もあります。
実用性を語る段階ではありませんが、ネイティブFP8に対応していないAmpereでも、Neural Renderingそのものを無理やり実行できたというのは面白い結果です。
その後さらに実験は進み、RTX 20シリーズでも動作例が報告されています。
ただしクラッシュや映像出力の停止といった不具合も多く、まだかなり不安定な段階です。
霊夢130fpsから4fpsって、さすがにゲームを遊ぶ性能ではないわね
魔理沙実用化というより、どこまで古いGPUで動かせるか試してる実験だな
RTX 30シリーズについては、この結果から正式対応の有無を判断することはできません。
現在使われているのは、NVIDIAがAmpere向けに最適化した正式版ではないからです。
RTX 40シリーズは正式にDLSS 5へ対応するのか
RTX 40シリーズを使っているなら、結局ここが一番気になるところだと思います。
現時点では、NVIDIAからRTX 40シリーズの正式対応は発表されていません。
NVIDIAが公式に発表しているのは、DLSS 5が2026年秋に提供されることと、Starfield、Hogwarts Legacy、Resident Evil Requiemなど複数タイトルへの導入予定です。
一方で、RTX 40やRTX 30を含めたGPU世代別の対応範囲はまだ明らかになっていません。
今回ModderがRTX 4080やRTX 4070でも動かしたことで、RTX 40シリーズではDLSS 5を技術的に実行できないという可能性はかなり低くなりました。
だからといって、NVIDIAが正式にサポートするとは限りません。
対応GPU、処理負荷、VRAM、画質、ドライバ側の最適化など、正式対応には別の条件もあります。
RTX 40シリーズから買い替える必要はある?
DLSS 5を理由にRTX 40シリーズからRTX 50シリーズへの買い替えを考えているなら、現時点では正式発表を待った方が судить判断しやすいでしょう。
RTX 4090、RTX 4080だけでなく、RTX 4070でもNeural Renderingが動いています。
少なくとも、RTX 50シリーズへ買い替えなければDLSS 5を絶対に実行できないと決めつける状況ではなくなりました。
一方で、正式対応したとしてもRTX 4070やRTX 4060でどのくらいの負荷になるのかは分かっていません。
製品版ではRTX 50シリーズとRTX 40シリーズで利用できるモデルや設定が違う可能性もあります。
DLSS 5を目的に買い替えるかどうかは、正式な対応GPUと実ゲームでの性能が分かってから判断しても遅くありません。
なお、未発表のRTX 50 SUPERシリーズについては、3GB GDDR7の価格高騰を理由に計画が保留されているとの報道があり、発売時期や価格は不透明です。
→ RTX 50 SUPERは3倍の値段になるのか|3GB GDDR7の価格高騰を独自試算で検証
まとめ
NBA 2K27から見つかったDLSS 5 Neural RenderingのDLLは、そのままではRTX 50シリーズでしか動作しませんでした。
ところがBlackwell専用だったCUDAバイナリをModderが修正し、RTX 4090やRTX 4080でも動作。
その後はRTX 4070でも実際の動作報告が出ています。
今回の結果から、少なくとも流出したNeural Renderingモデルについては、RTX 40シリーズでも実行できることが分かりました。
一方でRTX 4090でも約135fpsから82fpsまで低下しており、現在の実装はかなり重い状態です。
さらにRTX 30シリーズでも実験が進み、RTX 3080で約130fpsから4fpsという極端な結果まで出ています。
こちらは実用というより、動かせたこと自体を楽しむ段階でしょう。
そして一番重要なのは、NVIDIAはRTX 40シリーズのDLSS 5正式対応をまだ発表していないということです。
DLSS 5は2026年秋に提供予定です。
RTX 40シリーズまで正式対応するのか、それともRTX 50シリーズを中心とした展開になるのか。
ModderによってRTX 4070まで動いてしまっただけに、NVIDIAが正式版でどこまで対応範囲を広げるのかにも注目したいところです。


