PCゲームを遊んでいると、「このゲームはUnreal Engine 5で作られている」「あのゲームはUnity製」みたいな話を見かけることがあります。
でも、ゲームエンジンって言われても、何のことかピンとこない方も多いと思います。
ゲームを動かす何かだろうな、くらいの認識の方がほとんどではないでしょうか。
そこで今回は、有名タイトルを例に、それぞれどのゲームエンジンで作られているのかを逆引きしながら、各エンジンの特徴を見ていきます。
「このゲームはこのエンジンだから、こういう特徴がある」という流れで読んでいくと、ゲームエンジンの違いが自然と分かってくるはずです。
そもそもゲームエンジンとは?
ゲームエンジンをひとことで言うと、ゲームを作るための土台であり、共通の道具セットです。
たとえば家を建てるとき、毎回ゼロから木材を切り出して、基礎工事の方法を一から考えて……とやっていたら、いつまで経っても完成しません。あらかじめ基礎工事のノウハウや工具一式が揃っていれば、その上に家を建てることに集中できます。
ゲームエンジンもこれと同じです。映像を映す仕組み、物の動きを計算する仕組み、音を鳴らす仕組み。こういった「どんなゲームにも必要な土台部分」をエンジンがまとめて用意してくれるので、開発者は「どんなゲームを作るか」という中身の部分に集中できるわけです。
霊夢つまり、ゲーム作りのスタートラインを前に進めてくれる道具ってことね
魔理沙毎回ゼロから作らなくていいってのは、確かに楽そうだぜ
霊夢しかも、どのエンジンを選ぶかでゲームの方向性や得意分野も変わってくるの。だから「このゲームはどのエンジンか」を知ると、そのゲームの特徴も見えてくるってわけ
ゲームエンジンが担当している役割
もう少し具体的に、ゲームエンジンが引き受けてくれる仕事を挙げてみます。
- 映像の描画(グラフィックのレンダリング)
- 物理演算(物の落下、当たり判定、キャラの動きなど)
- 音の処理(BGM、効果音、立体音響など)
- 入力の管理(コントローラーやキーボード、マウス操作の受付)
- 各プラットフォームへの対応(PC、PS5、Xbox、Switchなど)
これらを毎回ゼロから自前で作るのは、途方もない手間がかかります。だからこそ、エンジンがまとめて引き受けてくれることで、ゲーム開発が現実的なスピードで進むようになっています。
Unreal Engine:高品質グラフィックの代表格

まず最初に紹介するのが、Epic Gamesが開発するUnreal Engineです。
一番の特徴は、フォトリアル、つまり実写のようにリアルな映像表現に強いこと。大規模なAAAタイトルで広く使われていて、「映像がとにかく綺麗なゲーム」の多くがこのエンジンで作られています。
Unreal Engineの代表タイトル
有名どころを挙げると、こんなタイトルがあります。
- 黒神話: 悟空(Game Science。開発途中でUnreal Engine 4から5へ移行したことで話題になりました)
- Fortnite(Epic Games自身が開発。エンジンの新機能の大規模な実例としても紹介されています)
- Senua’s Saga: Hellblade 2(圧倒的な映像美で評価された一本)
- サイレントヒル 2 Remake / サイレントヒル f(ホラーの空気感をリアルな映像で表現)
FortniteはEpic Games自身が運営しているタイトルなので、Unreal Engineの新機能が大規模な実例として紹介されやすいタイトルでもあります。
Unreal Engine 5の主要技術(Nanite・Lumen・Virtual Shadow Maps)
Unreal Engine 5になって、グラフィック面で大きな進化がありました。特に重要なのが次の3つの技術です。
Nanite(ナナイト)
非常に細かい3Dモデルを効率的に扱いやすくする技術です。従来より高密度なモデルをゲーム内で使いやすくなります。
「使えば必ず軽くなる」というより、描画の仕組み自体を変えることで、高精細な表現を扱いやすくするものだと考えると分かりやすいです。
これまでは細かすぎるモデルはゲームに入れると重くなりすぎて使えませんでしたが、Naniteによって映画レベルの精細なモデルもゲーム内で扱えるようになりました。
Lumen(ルーメン)
光の反射や間接的な光を、リアルタイムで計算してくれる技術です。
たとえば赤い壁の近くに立つと、その反射でキャラがほんのり赤く照らされる、といった自然な光の表現ができます。
Virtual Shadow Maps(バーチャルシャドウマップ)
高精細な影を効率的に描画する仕組みです。輪郭がくっきりした自然な影を、広い範囲で表現できます。
これらが揃うことで、フォトリアルな映像が実現できます。ただし、その分PCへの負荷も大きくなりやすい、というのは知っておきたいポイントです。
ちなみに、UE5のタイトルだからといって全部の機能をフル活用しているわけではありません。
たとえばRemnant 2はNaniteは使っていますが、Lumenは使わない構成になっています。同じエンジンでも、どの機能を使うかは開発側の判断次第というわけです。
Unreal Engine 6について現時点で分かっていること
次世代のUnreal Engine 6についても、すでに動きが出てきています。
2026年5月時点では、Rocket LeagueでUnreal Engine 6を使った映像が披露されています。
ただし、UE6の具体的な機能や正式なリリース時期はまだ明らかになっていません。
現状では、次世代Unreal Engineの存在が示された段階と考えるのが安全です。このあたりはまだ確定情報が少ないので、続報を待ちたいところですね。
Unity:幅広いジャンルを支える万能エンジン

次に紹介するのがUnityです。Unity Technologiesが開発しているエンジンで、Unreal Engineと並んで世界的に広く使われています。
Unityの最大の特徴は、その柔軟性です。2Dでも3Dでも、インディーの小規模タイトルから大規模なゲームまで、ジャンルを問わず幅広く対応できます。特にモバイルゲームやマルチプラットフォーム展開でも広く使われています。
Unityの代表タイトル
Unityで作られた有名タイトルを見てみましょう。
- Hollow Knight(Team Cherry。美しい手描きの2Dメトロイドヴァニア)
- Cuphead(Studio MDHR。1930年代カートゥーン風の手描きアニメーション)
- 原神(HoYoverse。クロスプラットフォームの大規模オープンワールドRPG)
- Among Us(InnerSloth。世界的にヒットした人狼系ゲーム)
- ポケモン GO(Niantic。位置情報を使ったスマホゲーム)
こうして並べてみると、2Dの名作から大規模な3Dタイトル、スマホゲームまで、本当に幅広いことが分かります。「どんなジャンルでも受け止められる懐の広さ」がUnityの魅力です。
Godot:無料・オープンソースで注目の新興エンジン

ここ数年で急速に注目を集めているのがGodot(ゴドー)です。
最大の特徴は、完全無料でオープンソースという点。しかも売上に対するロイヤリティ(使用料)が一切かかりません。この敷居の低さから、インディー開発者の間で支持が急速に広がっています。特に2Dゲームの作りやすさには定評があります。
Godotの代表タイトル
Godotで作られた代表的なタイトルはこのあたりです。
- Brotato(Blobfish。ジャガイモが武器を振り回すトップダウンのローグライト)
- Cassette Beasts(モンスター育成型のRPG)
- Dome Keeper(採掘と防衛を組み合わせたインディー作品)
- Halls of Torment(見下ろし型のサバイバーローグライト)
現時点では、Godotで作られたAAA級のフル3Dタイトルはまだ少ないです。とはいえ、インディーシーンでの存在感は年々増していて、これから注目していきたいエンジンの一つです。
RE ENGINE:Capcomの自社エンジン

最後に紹介するのが、Capcomが自社開発したRE ENGINEです。
これまで紹介してきたUnreal EngineやUnity、Godotは、いろいろな会社が使える「汎用エンジン」でした。
一方のRE ENGINEは、Capcomが自社のゲームを作るために独自開発した「内製エンジン」です。
名前の由来は「Reach for the moon(月に手を伸ばす)」。バイオハザード7を作るために開発され、それ以降Capcomの主力エンジンになりました。
RE ENGINEの代表タイトル
RE ENGINEで作られたタイトルは、Capcomの看板作品がずらりと並びます。
- バイオハザード7以降のシリーズ(RE2 / RE3 / RE4のリメイク、ヴィレッジ、Requiem)
- Monster Hunter Wilds / Monster Hunter Rise
- Street Fighter 6
- Devil May Cry 5
- Dragon’s Dogma 2
- PRAGMATA
フォトリアルなホラーから対戦格闘、大規模なハンティングアクションまで、幅広いジャンルをこの一つのエンジンで支えているのが分かります。
自社エンジンのメリットと最近の動向
自社エンジンの一番のメリットは、自分たちが作りたいゲームに合わせて、エンジン側を最適化しやすいことです。
汎用エンジンだと「いろんな用途に対応するための余分な部分」がどうしても出てきますが、内製エンジンなら自社タイトルに特化したチューニングができます。
ただ、万能というわけでもありません。大規模なオープンワールドのような重い処理では、最適化が課題になる場面も出てきています。
実際、Monster Hunter Wildsでは発売後に大規模な最適化アップデートが行われました。
こうした背景もあって、Capcomは後継エンジンの開発にも動いているとされています。このあたりはまだ確定した情報が多くないので、今後の発表を見守りたいところです。
ゲームエンジンによって何が変わるのか
ここまで4つのエンジンを見てきましたが、エンジンの違いは具体的に何に影響するのでしょうか。整理してみます。
- 映像表現の方向性:フォトリアル寄り(Unreal Engine、RE ENGINE)か、スタイライズや2Dも含めた幅広さ(Unity、Godot)か
- 開発規模との相性:大規模AAA向き(Unreal Engine)か、インディーから大規模まで対応(Unity)か、インディー中心(Godot)か
- 最適化のされ方:汎用エンジンか、特定タイトルに最適化しやすい自社エンジン(RE ENGINE)か
- PC負荷の出方:NaniteやLumenのような重い技術を多用するタイトルは、要求スペックが上がりやすい
魔理沙エンジンが違うと、こんなに性格が変わるんだな
霊夢そうなの。同じ「綺麗なゲーム」でも、フォトリアルを攻めるエンジンと、スタイライズされた表現が得意なエンジンじゃ、目指している方向が違うのよ
魔理沙じゃあ、自分のPCで快適に動くかどうかも、エンジンである程度予想できるってことか?
霊夢完全にとは言えないけど、傾向はつかめるわね。UE5でNaniteやLumenをフル活用してるタイトルは重めだろうな、とか。そういう予測ができると、ゲームを買う前の判断材料になるのよ
まとめ:エンジンを知ると必要スペックの予測にも役立つ
ゲームエンジンは、ゲームを作るための土台であり、共通の道具セットです。
- Unreal Engine:フォトリアルな高品質グラフィックが得意な大規模向け
- Unity:2Dから3D、インディーから大規模まで幅広く対応する万能型
- Godot:無料・オープンソースでインディーシーンで急成長中
- RE ENGINE:Capcomが自社タイトルに最適化した内製エンジン
それぞれ得意分野や映像の方向性が違っていて、それがゲームの見た目や雰囲気に表れています。
そして、ゲームエンジンを知っておくと、映像表現や動作負荷、必要スペックを考えるうえでも役に立ちます。
「このゲームはUE5のNaniteやLumenをフルに使っているから、それなりのGPUが要りそうだな」「このエンジンはこういう映像表現が得意だから、こういう負荷の出方をしそうだな」といった具合に、自分のPCで快適に動くかどうかの予測材料になるわけです。
もちろん、同じエンジンでもゲームの規模やPC版の作り込みによって動作の重さは変わります。
RE ENGINEのように内製で最適化されたエンジンでも、Monster Hunter WildsやDragon’s Dogma 2のように大規模なタイトルではPC版の重さが話題になることもありました。
あくまで「傾向をつかむ手がかり」として捉えておくのがちょうどいいと思います。
新しいゲームの情報を見たとき、「これは何のエンジンで作られているんだろう」と少し気にしてみると、そのゲームの映像の方向性や、自分の環境で遊べるかどうかが見えてくるようになります。
次にゲームを選ぶとき、ちょっとした判断材料として活用してみてください。



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