現行世代のRadeon RX 9000シリーズはRDNA 4世代です。
そして次世代として、RDNA 5と呼ばれるアーキテクチャの情報が少しずつ出始めています。
ただし、AMDから次世代Radeon製品としての正式発表はまだありません。
一方で、LLVMやLinuxドライバのコードからは、内部仕様の一部が見え始めています。
この記事では、コードから確認できる部分と、現時点でリークにとどまる部分を分けて整理していきます。
先に線引きを書いておきます。
GFX13という内部コード、VOPD3によるDual Issueの改善、DCN6の存在は、開発用コードから確認できる情報です。
一方で、CU数やメモリバス幅、GDDR7、3nmプロセス、そして発売時期については、すべてリーク段階の情報になります。
RDNA 5とは?まず現在分かっていること
最初に全体像を押さえておきましょう。
RDNA 4の内部コードはGFX12です。
そして次世代にあたるのがGFX13で、より細かくはgfx1310という識別子で開発が進んでいます。
これはAMDのLLVMやLinux関連のコードから確認できるものです。
なお、LLVMの公式ドキュメントでは、GFX13はRDNA 5と明記されています。
gfx1310についてもdGPU、つまり単体GPUとして登録されています。
つまりRDNA 5という名称自体は、外部が勝手に付けた俗称ではありません。
ただし、AMDから次世代Radeon製品としての正式発表はまだありません。
Radeonのシリーズ名や製品名も未発表です。
アーキテクチャ名としてはコード上で確認できる一方、製品としての姿はまだ見えていない、という状態ですね。
GPUのアーキテクチャそのものについては、こちらでも解説しています。
→ アーキテクチャって何のこと?GPUアーキテクチャについて解説
RDNA 4から一番大きく変わりそうなのはシェーダー
現時点で最も確度が高く、かつ影響が大きそうなのがこの部分です。
Dual Issueがより使いやすくなる可能性
Dual Issueは、GPUが1クロックで2つの演算を同時に実行できる仕組みです。
RDNA 3の世代から搭載されていました。
ただし、実際にはかなり制約が多い機能でした。
対応する命令が限られていて、Wave32モードでしか動作しない、レジスタの配置にも条件があるなど、使える場面が絞られていたんですね。
そのため、コンパイラが命令をうまく組み合わせられず、理論上のピーク性能を出しにくいという問題がありました。
一部のマイクロベンチマークでは、公称されているFP32性能の半分程度にとどまるケースも確認されています。
VOPD3への対応で制約が緩和される
ここで注目したいのが、VOPD3という命令形式です。
現行RDNA 4のdGPUであるgfx1200やgfx1201にはVOPD3がありませんが、gfx1310では確認されています。
つまり、RDNA 4のdGPUからRDNA 5への変更点のひとつと言えます。
従来のVOPDでは、3つ目の入力を扱う命令にも制約があり、src2と出力先が結び付けられるケースがありました。
VOPD3では独立した3つ目の入力を扱えるようになり、命令を組み合わせる自由度が広がっています。
実際、この変更でV_FMA_F32という命令が追加されています。
またGFX13では、整数の最大値・最小値、減算、ビットシフト系など、Dual Issueの対象となる命令も広がっています。
出力先のレジスタに関する制約についても、緩和が入っています。
こうした変更によって、Dual Issueを使える場面が増える方向に動いている、というのが現時点で読み取れる内容です。
初心者向けに言い換えると
ここは分かりにくいので、噛み砕いておきます。
GPUの性能を上げる方法は、大きく2つあります。
ひとつは演算器の数を増やすこと。CU数を増やすアプローチですね。
もうひとつが今ある演算器を遊ばせないようにすることです。
Dual Issueの改善は後者にあたります。
せっかく2つ同時に動ける仕組みがあるのに、条件が厳しくて使えない場面が多かった。
その条件を緩めて、実際に使える場面を増やそうという方向性です。
霊夢コアを増やすんじゃなくて、今あるコアの遊びを減らす改善なのね
魔理沙そんなことで性能が変わるのか?
霊夢変わるわ。理論値では2倍出せる仕組みがあっても、条件が厳しくて使えなければ意味がないでしょう。その使える範囲を広げるっていう話よ
魔理沙なるほどな。スペック表の数字を実際に出せるようにする改善ってことか
RDNA 4とRDNA 5を比較すると何が違う?
現時点で分かっている範囲を表にまとめます。
確定情報とリーク情報が混在しているので、注記を付けています。
| 項目 | RDNA 4 | RDNA 5 | 情報の確度 |
|---|---|---|---|
| 内部コード | GFX12 | GFX13(gfx1310) | コードで確認 |
| シェーダー | Dual Issue(制約多い) | VOPD3で制約緩和の痕跡 | コードで確認 |
| Display Engine | 現行世代 | DCN6 | コードで確認 |
| RT | 第3世代RT Accelerator | 詳細不明 | 未発表 |
| AI | 第2世代AI Accelerator | 詳細不明 | 未発表 |
| メモリ | GDDR6 | GDDR7やLPDDR5X系の噂 | リーク |
| 最大規模 | 64CU | 諸説あり(後述) | リーク |
| 製造プロセス | 4nm | 3nm系の噂 | リーク |
| 登場時期 | 2025年 | 2027年後半〜2028年初頭説 | リーク |
CU数については、リークごとに数え方や対象となる構成が異なる可能性があるため、単純な比較ができません。
詳しくは後半で説明します。
RDNA 4世代のGPUについては、こちらで詳しく比較しています。
→ 2026年ミドル帯GPU徹底比較|RX 9060 XT・RTX 5060 Ti・RX 9070シリーズの選び方と用途別おすすめ
Display EngineもDCN6へ世代交代
Dual Issueの次に、比較的根拠を取りやすいのがこの部分です。
DCNはDisplay Core Nextの略で、GPUの映像出力を担当する部分を指します。
シェーダーとは別のブロックで、解像度、リフレッシュレート、映像出力、スケーリングなどに関係します。
GFX13と関連するコードとして、DCN6が確認されています。
ここで誤解しないでほしいのが、DCN6になったからゲーム性能が上がる、という話ではないということです。
映像出力周りの機能や対応規格が更新される部分なので、フレームレートに直接影響するものではありません。
ここから先はAMD未発表のリーク情報です
ここから扱う内容は、すべて第三者によるリークに基づくものです。
AMDは公式に確認していません。
さらに言えば、リーク同士でも前提が食い違っています。
そこも含めて整理していきます。
AT0という大型GPUの噂
RDNA 5では、Alpha Trion(AT)というコードネームで複数のGPUダイが用意されるという情報があります。
その最上位とされるのがAT0です。
ここで注意したいのが、CU数のリークが複数あり、そのまま比較できないという点です。
あるリークではAT0を96CUとしていますが、これは新しい数え方によるもので、従来方式に換算すると192CU相当とされています。
一方、154CUという情報も出ていますが、こちらは別系統のリークで、しかもフル構成のAT0ではなく、ゲーミング向けに削減されたAT0 XLについて語られているものです。
つまり、CUの定義そのものと、対象となるダイ構成の両方が異なる可能性があります。
96CU説と154CU説が正面から矛盾している、という単純な話ではないんですね。
同じ理由から、RDNA 4の64CUと比較する場合も注意が必要です。
数え方が変わっている可能性がある以上、64CUと96CUを1対1で比べても意味がありません。
RDNA 4では最上位のRX 9070 XTが64CUで、NVIDIAの最上位に直接対抗する超大型GPUはありませんでした。
もし本当に大型ダイが登場するなら、AMDが再びハイエンド市場へ戻る世代になる可能性があるわけです。
AT0はゲーマー向けに出るのか
ここも情報が分かれています。
フル構成のAT0については、HPCやデータセンター向けになる可能性が指摘されています。
一方で、カットダウンしたAT0 XLをゲーミング向けに投入するという情報も出ています。
つまり、AT0がクラウド向け専用というわけでもなく、そのままゲーマー向けに出るとも限らないという状態です。
コンシューマ向けにどう展開されるかは、現時点では未確定です。
GDDR7へ移行する可能性
RDNA 4のRX 9000シリーズはGDDR6を採用しています。
RDNA 5ではGDDR7を採用するという情報が出ています。
大きなバス幅と組み合わされば、メモリ帯域は大幅に増加する可能性があります。
一方で、下位モデルではLPDDR5Xを採用するという情報もあり、ラインナップ内で使い分ける構想も噂されています。
ここでVRAM容量まで予測するのは避けておきます。
リークによって数字が分かれていますし、そもそもメモリ価格の動向次第で構成が変わる可能性があるからです。
実際、GDDR7の価格高騰はNVIDIA側の製品計画にも影響を与えています。
→ RTX 50 SUPERは3倍の値段になるのか|3GB GDDR7の価格高騰を独自試算で検証
製造プロセスは3nmになる?
TSMCの3nm系プロセスへ移行するという情報があります。
RDNA 4はTSMCの4nm系でした。
ただし、プロセスの微細化だけで性能が決まるわけではありません。
消費電力やクロックにも関係する要素なので、世代間の性能差を単純にプロセスだけで語ることはできません。
動作クロックは3.1〜3.4GHzを目標との情報も
2026年9月に入って、新しいリークが出ています。
RDNA 5では3.1〜3.4GHz程度のクロックを目標にしている、という内容です。
ただし、これが特定のデスクトップ向けGPUを指すのか、それともRDNA 5世代全体の設計目標なのかは明らかになっていません。
対象製品が不明なので、そのまま製品スペックとして受け取らない方がいいと思います。
RDNA 5はいつ発売される?
ここも検索されやすい部分なので、現時点の情報を整理しておくと…
現時点では、2027年後半から2028年初頭に登場するという見方が出ています。
以前はもっと早い時期の予想もありました。
ボードパートナー筋の情報として2027年中盤から後半という話が出ている一方、2028年初頭までずれ込む可能性を指摘する情報もあります。
背景として、メモリ不足やAI向けハードウェアの優先といった要因が挙げられています。
いずれにしても、AMDからの公式発表はありません。
発売時期が確定した、という話ではないので注意してください。
RDNA 5で一番期待したいのは性能より効率改善かもしれない
ここまでを踏まえて、現時点で読み取れることを整理します。
リーク情報では大きなCU数やメモリバス幅が並んでいます。
ただ、コードから確認できる範囲で興味深いのは、むしろ実行効率の改善の方です。
VOPD3によるDual Issueの制約緩和は、CU数を増やすのとは別の方向のアプローチです。
同じ規模の演算器でも、実際に使える場面が増えれば、実性能は変わってきます。
RDNA 4で強化されたレイトレーシングとAI処理が、RDNA 5でどう進化するのかも注目点です。
ただしこの2つについては、現時点で世代差を判断できる情報がほとんど出ていません。
そこにGDDR7や大型ダイが組み合わされば、上位帯の性能も期待できます。
とはいえ、それはリークが正しかった場合の話です。
現時点で言えるのは、コードから見る限り、AMDが実行効率の改善に手を入れているらしい、というところまでですね。
RDNA 4ユーザーはRDNA 5を待つべき?
購入判断の話も少し触れておきましょう。
結論から言うと、今GPUが必要なら、RDNA 5を待つ理由にはなりにくいと思います。
理由は単純で、まだ製品としての正式発表がされていないからです。
2027年後半から2028年初頭という見方が正しければ、1年以上先の話になります。
その間ずっと待ち続けるのは現実的ではありません。
RX 9000シリーズを検討している人が、RDNA 5のために購入を止めるべき状況ではないと思います。
一方で、ハイエンドRadeonの復活を待っている人にとっては、注目する価値のある世代です。
RDNA 4では上位帯に選択肢がなかったので、そこを待っていた人には朗報になる可能性があります。
ただし繰り返しになりますが、大型ダイがコンシューマ向けにどう展開されるかも含めて未確定です。
霊夢1年以上先の製品を待つのは、さすがに現実的じゃないわね
魔理沙じゃあ今RX 9070 XTとか買っても損しないってことか?
霊夢今必要ならね。RDNA 5がいつ出るかも、どんな構成になるかも分からないんだから。待つかどうかは、今困ってるかどうかで決めればいいわ
魔理沙なるほどな。出るか分からないものを待つより、今使えるものを選ぶってことか
まとめ
現時点で分かっていることを整理します。
RDNA 5はGFX13、より細かくはgfx1310として開発が進んでいることが、コードから確認できます。
LLVMの公式ドキュメントでもGFX13はRDNA 5と明記されていますが、Radeon製品としての正式発表はまだありません。
技術面で最も注目なのは、VOPD3への対応によるDual Issueの制約緩和です。
CU数を増やすのではなく、既存の演算器を活かす方向の改善と言えます。
映像出力を担当するDisplay EngineもDCN6へ更新されることが確認されています。
一方で、CU数やメモリバス幅、GDDR7、3nmプロセスといった話は、すべてリーク段階です。
しかもCU数については数え方や対象構成が異なる可能性があり、リーク同士を単純に比較できません。
最上位ダイがコンシューマ向けにどう展開されるかも不明です。
発売時期については2027年後半から2028年初頭という見方が出ていますが、こちらも公式発表はありません。
今後の注目点は、レイトレーシングとAI処理の性能、そして正式なGPU構成です。
このあたりが明らかになれば、RDNA 5がどういう世代になるのか、より具体的に見えてくるはずです。
GPU選びで迷っている方は、こちらもあわせてどうぞ。


