8GBのグラボでも、最近のゲームの多くは起動して遊べます。
ただ、起動できることと、希望する画質で快適に遊べることは別の話です。
同じGPUでも、VRAMが8GBか16GBかによって、平均fpsだけでなく最低fpsや長時間プレイ時の安定性に差が出る場面があります。
一方で、ほとんど差が出ないゲームもかなりあります。
この記事では、RTX 5060 Tiの8GB版と16GB版を比べた実測をもとに、Apex Legendsやモンスターハンターワイルズなど身近なタイトルで、8GBで足りる条件と16GBで選択肢が広がる条件を整理します。
VRAMそのものの役割については、こちらで解説しています。
→ 【初心者向け】VRAMとは?グラボ選びで知っておきたい役割と容量の考え方
VRAM不足はどんな症状で現れるのか
VRAMに収まりきらない場合の挙動は、ゲームによって違います。
システムメモリを利用する場合もあれば、画質や読み込むデータを減らす作品、そのまま性能が落ちる作品もあります。
症状もひとつではないので、分けて見ておくと判断を誤りにくくなります。
平均fpsが下がる
最も分かりやすい症状です。
ただし、平均fpsはGPUの処理性能不足でも下がるので、これだけでVRAM不足とは判断できません。
最低fpsや1% Lowが落ちる
平均fpsがそれほど落ちていなくても、瞬間的な引っかかりが増えるケースがあります。
1% Lowは、フレームレートの下位1%を示す指標で、カクつきの多さを見るときに使います。
→ 今更聞けない?!ゲームのかくつき原因で耳にする「1% Low」ってなんのこと?
テクスチャが荒くなる・表示が遅れる
作品によっては、fpsを保つ代わりにテクスチャの表示を遅らせたり、画質を落としたりします。
この場合、fpsの数字だけでは差が見えません。
時間が経ってから重くなる・落ちる
起動直後は問題なくても、プレイを続けるうちに途中から重くなることがあります。
クラッシュにつながる場合もあります。
同じGPUの8GB版と16GB版を比べた実測
RTX 5060 Tiは、8GB版と16GB版でGPU本体の仕様が共通です。
そのため、両者の比較はVRAM容量による差を見るのに向いています。
ここで紹介するのは、国内メディアが2025年5月に行った検証です。
数字を読む前に、検証条件として次の点を押さえておいてください。
- 検証時のドライバーは発売直後のもので、現在は挙動が変わっている可能性がある
- すべてのGPUをPCIe Gen4 x8で接続した環境で、VRAMが足りない場面では接続帯域の影響を受けやすい
- 8GB版は工場出荷時にクロックを上げたモデルで、VRAMに余裕がある場面では8GB版がわずかに速くなる
- VRAM使用量は計測ツールの読み値で、実際に使っている量か、確保しただけの量かは区別できない
なお、一部の設定では8GB版が完走しない場面がありました。
ただし検証者は、同じ8GBのRTX 4060 Tiが完走したことから、RTX 5060 Ti側のドライバー不具合と判断しているため、ここではVRAM不足の例として扱いません。
Apex Legendsとオーバーウォッチ 2では差が出ない

Apex Legendsは最高画質で、VRAMの平均使用量がフルHDで約5.5GB、4Kでも7GB未満でした。
8GB版と16GB版のフレームレートに、容量による差は出ていません。
オーバーウォッチ 2もエピック設定で、平均使用量はフルHDで約5.3GB、4Kで約6.9GBでした。
こちらも容量の差はフレームレートに影響していません。
今回確認したApex Legendsやオーバーウォッチ 2のようなタイトルでは、8GBでも容量が問題になる場面はほぼありません。
コール オブ デューティ ブラックオプス6は最高画質でも差が小さい

画質を「バランス重視」にした場合、平均使用量は約7.5GBで、8GB版と16GB版のフレームレートはほぼ同じでした。
最高画質の「極限」では、フルHDでも平均使用量として約12.5GBを記録しています。
それでも、最低fpsがやや落ちる程度で、8GB版と16GB版の差はほとんどありませんでした。
ツールに表示されるVRAM使用量が8GBを超えても、それだけで性能が崩れるわけではないという例です。
霊夢表示上は12GB以上使ってるのに、8GB版でもほとんど差がないのね
魔理沙じゃあ表示される使用量は当てにならないってことか?
霊夢当てにならないわけじゃないけど、確保しただけの分も含まれてる可能性があるの。数字が8GBを超えたらすぐアウト、とは考えない方がいいわ
魔理沙実際にfpsやカクつきがどうなるかを見ろってことだな
マーベル・ライバルズは4Kで差が出る

最高画質にDLSSとフレーム生成を組み合わせた設定で、平均使用量はフルHDで約6.8GB、4Kで約8.5GBでした。
フルHDとWQHDでは、8GB版と16GB版にほぼ差はありません。
4Kになると、8GB版の最低fpsが大きく落ち込み、DLSSのマルチフレーム生成(3x)を使っても60fpsに届きませんでした。
なお、この検証ではPCIe Gen4 x8接続だったため、VRAM不足時には接続帯域の影響を受けた可能性があります。
モンスターハンターワイルズは高設定でも差が出る

公式ベンチマークを、画質「高」・レイトレーシングオフ・DLSSで計測した結果です。
平均使用量はフルHDで約7.7GB、4Kで約8.5GBでした。
どの解像度でも、8GB版は16GB版より平均fpsが4〜9%低くなっています。
最低fpsも16GB版の方が安定していました。
8GBに近い使用量の設定でも、小さいながら差が出たケースです。
ラスト・オブ・アス part II リマスターは4Kで差が開く

画質「中」では、平均使用量はフルHDで約8.3GB、4Kで約10GBでした。
WQHDまでは8GB版と16GB版のフレームレートに大きな差はなく、4Kで8GB版が息切れしています。
最高画質でも同じ傾向で、WQHDまでは互角、4Kになると8GB版が大きく落ち込みました。
この4Kの場面では、GPUとCPUの間のPCIeの通信量が非常に大きくなり、検証者自身が転送帯域の飽和を確認しています。
4Kでの差は、VRAM容量だけでなく接続環境の影響も含んだ結果として見てください。
なお、別の海外検証では、RX 9060 XTの8GB版と16GB版をWQHD・FSR Quality・Ultra設定で比べ、16GB版が平均fpsで22%、1% Lowで37%高い結果も出ています。
海外の検証で差が大きく出た例
Forza Horizon 6(RTX 5060 Ti)

| 解像度・設定 | 8GB版 | 16GB版 |
|---|---|---|
| フルHD/DLSS Quality/High+レイトレーシング | 102fps | 130fps |
| フルHD/DLSS Balanced/Extreme+レイトレーシング | 55fps | 82fps |
| WQHD/DLSS Balanced/Extreme+レイトレーシング | 33fps(1% Low 28fps) | 61fps(1% Low 51fps) |
フルHDのHigh+レイトレーシングは約9GBのVRAMを使う設定ですが、8GB版でも平均102fpsで滑らかに動作しています。
差が大きく開いたのは、Extreme設定やWQHDに上げたときです。
フルHDのExtreme+レイトレーシングでは、16GB版が約12GBのVRAMを使っていました。
WQHDでは、8GB版が平均33fps、1% Lowは28fpsまで落ちています。
8GBでも差が出ない作品はかなりある
RTX 5060 Tiの8GB版と16GB版を、調整したWQHD設定で27作品比較した海外の検証があります。
そのうち12作品では、測定値でも体感でも差がありませんでした。
一方で、11作品では体感できる問題があり、そのうち4作品は8GB版がプレイ不能と判定されています。
同じ8GBでも、作品と設定によって結果が大きく分かれるということです。
特にWQHDは、タイトル次第で結果が大きく変わります。
「8GBは全部ダメ」「8GBで全部足りる」のどちらも、実測とは合いません。
短いベンチマークでは分からない差がある
バトルフィールド6のWQHD・高負荷設定では、開始直後は8GB版と16GB版がほぼ同等でした。
ところが約15分後には、8GB版が大きく遅れています。
一方、同じ検証のHigh設定では、8GB版でも良好に動作していました。
この作品の高負荷設定では、短いベンチマークだけでは差が見えなかったという例です。
重い設定で遊ぶ作品は、実際にしばらくプレイして、途中からfpsやカクつきが変わらないかも見ておくと判断しやすくなります。
画質設定が違う比較は容量の差として読まない
インディ・ジョーンズ/大いなる円環
RX 9060 XTの比較では、8GB版はテクスチャプールをLowに下げ、16GB版はVery Ultraで検証されています。
8GB版は動かすために設定を下げている状態で、遠景などの画質に差が出ていました。
この場合、fpsが近くても「8GB版でも同じように遊べる」とは言えません。
逆に、fpsの差をそのまま容量だけの差として扱うこともできません。
Forza Horizon 6の環境テクスチャ
8GB版で環境テクスチャの設定を下げると、性能は改善しました。
ただし、この作品では設定をHighに変えると、環境ジオメトリも一緒に下がります。
草木や遠景の見え方の差を、VRAM容量だけの直接的な影響として説明することはできません。
実測データを読むときに確認したい条件
VRAM使用量の表示は目安
計測ツールやゲーム内に表示されるVRAM使用量には、実際に使っている量だけでなく、確保しただけの量が含まれる場合があります。
コール オブ デューティ ブラックオプス6のように、表示上は約12.5GBでも8GB版との差がほとんど出ない例もあります。
表示値だけでなく、実際のfpsや最低fpsの変化と合わせて判断してください。
システムメモリの容量
Forza Horizon 6の検証では、8GB版RTX 5060 Tiでシステムメモリを32GBから16GBに減らすと、平均fpsが9%、1% Lowが25%下がりました。
この作品では、8GB版がメインメモリの容量からも影響を受けたという結果です。
比較データを見るときは、検証に使われたメモリ容量も確認しておいてください。
PCIeの接続条件
RTX 5060 TiはPCIe 8レーンで接続するGPUです。
VRAMが足りない状況では、GPUとシステムメモリの間でデータの転送が増え、その帯域が結果に影響します。
国内メディアの検証では、PCIe Gen4 x8で接続した環境のラスト・オブ・アス パートII(4K)で、転送量が帯域の上限に達していました。
同じRTX 5060 Ti 8GBでも、接続するPCIeの世代によって、VRAMが足りない場面での落ち込み方は変わり得ます。
専用GPUメモリと共有GPUメモリ
Windowsのタスクマネージャーでは、GPUのメモリが「専用GPUメモリ」と「共有GPUメモリ」に分かれて表示されます。
共有GPUメモリは、システムメモリの一部をGPUが使える領域です。
VRAMが増えたわけではないので、グラボ自体の容量として見るべきなのは専用GPUメモリの方です。
8GBで足りる条件と、16GBで選択肢が広がる条件
| 項目 | 8GBで足りやすい | 16GBで選択肢が広がる |
|---|---|---|
| ゲームの例 | Apex Legends、オーバーウォッチ 2、CoD BO6 | モンスターハンターワイルズ、ラスト・オブ・アス パートII |
| 解像度 | フルHD中心/WQHDはタイトル・設定次第 | WQHD〜4K |
| 画質設定 | High前後 | Ultra・最高設定 |
| レイトレーシング | 中〜高設定との併用なら動く作品もある | 最高画質との組み合わせ |
| テクスチャ | 設定を下げても構わない | 最高設定を維持したい |
8GBで問題が出るかどうかは、遊ぶ作品と、解像度・画質・レイトレーシングの組み合わせで決まります。
VRAM使用量の表示が8GBを超えても、症状の有無や程度は作品と設定によって違います。
今回確認したApex Legendsやオーバーウォッチ 2のようなタイトルや、フルHDで高すぎない設定なら、8GB版でも実用上の差が小さい作品は多くあります。
すでに8GBのグラボを使っている場合
VRAM不足が疑われるときに見直したいのは、テクスチャ品質やテクスチャプール、レイトレーシング、解像度です。
テクスチャはVRAMを多く使う設定なので、下げることで性能が改善する場合があります。
レイトレーシングも、最高画質と組み合わせるとVRAM使用量が増えます。
タスクマネージャーで、ゲーム中の専用GPUメモリが上限近くに張り付いていないかも確認してみてください。
どの設定から下げるべきかは、こちらで項目別に整理しています。
→ ゲームが重いときに下げるべき画質設定の優先順位|見た目を保ちつつ軽くするコツ
これから買うなら容量・GPU性能・価格差で判断する
RTX 5060 Tiのように、同じGPUで8GB版と16GB版がある製品では、価格差で得られるものがはっきりしています。
GPU性能は同じで、VRAMの余裕が増える分、高解像度や高画質設定で選べる幅が広がります。
Apex Legendsやオーバーウォッチ 2のようなタイトルが中心で、フルHDで遊ぶなら、8GB版でも足りる場面は多いです。
WQHDで遊ぶ場合や、モンスターハンターワイルズのような重量級タイトルを画質を落とさずに遊びたい場合は、16GB版の方が選択肢を狭めにくくなります。
一方、異なるGPU同士の8GBモデルと16GBモデルを比べる場合は、容量だけでなくGPU性能そのものの差も見る必要があります。
価格差は時期によって変わるので、購入時点の差額を確認してから判断してください。
解像度ごとの容量の目安は、こちらでまとめています。
→ 2026年版VRAM容量の選び方|WQHD・4K・画像生成AIに必要な目安とおすすめGPUまとめ
魔理沙結局、8GB版と16GB版のどっちを買えばいいんだぜ?
霊夢ApexをフルHDで遊ぶくらいなら8GB版でも困らないわ。モンハンワイルズみたいな重いゲームを高画質で遊ぶなら16GB版ね
魔理沙遊ぶゲームと解像度で答えが変わるってわけだな
霊夢そういうこと。差額は時期で変わるから、買う前に確認しておくといいわ
まとめ
Apex Legendsやオーバーウォッチ 2では、RTX 5060 Tiの8GB版と16GB版に容量による差は出ていません。
コール オブ デューティ ブラックオプス6のように、VRAM使用量の表示が8GBを大きく超えても差がほとんど出ないケースもあります。
一方で、モンスターハンターワイルズでは高設定でも8GB版が数%低く、ラスト・オブ・アス パートIIやマーベル・ライバルズでは4Kで差が開きました。
ただし4Kの結果は、PCIe Gen4 x8で接続した検証環境の影響を受けた可能性があります。
自分が遊ぶゲーム、解像度、画質設定を基準に、8GBで足りるかどうかを判断してみてください。


