ゲーム中にモニタリングソフトを開いて、CPUが85℃と表示されている。
そんな画面を見て、これって大丈夫なのかと不安になった経験はないでしょうか。
インターネットで調べると「80℃以下が理想」と書いてあったり、「90℃でも問題ない」と書いてあったり、情報がバラバラです。
先に結論を書いておくと、温度の数字だけでは、大丈夫かどうか判断できません。
同じ80℃でも、製品によって意味がまったく違うからです。
この記事では、CPUとGPUそれぞれについて、今の温度をどう判断すればいいのかを整理していきます。
ゲーム中に温度が上がるのは当たり前
ゲームはCPUとGPUに大きな負荷をかけます。
だから、何もしていないとき(アイドル時)より温度が上がるのは当然です。
アイドル時に40℃だったCPUが、ゲームを始めた途端に80℃まで上がる。
これ自体は、何もおかしなことではありません。
ゲームではCPUやGPUへの負荷が高くなるため、アイドル時より温度が上がるのは自然な動作です。
ただし、温度が高い理由は負荷だけではなく、室温や冷却性能、ケース内の空気の流れなどにも左右されます。
問題は、その温度が自分のパーツにとってどういう意味を持つのか、という点です。
そしてここが、CPUとGPUで事情が違います。
GPUは製品ごとに上限温度が違う
先にGPUから見ていきましょう。
こちらの方が、事情がはっきりしているからです。
NVIDIAは製品の仕様表に「Maximum GPU Temperature」という項目を掲載しています。
つまり、GPUには公式に定められた上限温度があるわけです。
問題は、この値が機種によって違うということです。
RTX 50シリーズのNVIDIA公称最大GPU温度
| 機種 | 上限温度 |
|---|---|
| RTX 5070 | 85℃ |
| RTX 5060 Ti | 87℃ |
| RTX 5070 Ti | 88℃ |
| RTX 5080 | 88℃ |
| RTX 5060 | 89℃ |
| RTX 5090 | 90℃ |
これはNVIDIAが公開している公称値です。実際のグラフィックボードは各メーカーが独自に設計しているため、製品仕様もあわせて確認してください。
最も低いRTX 5070と、最も高いRTX 5090で5℃の差があります。
ここが重要なポイントです。
「GPUは80℃までなら大丈夫」という説明をよく見かけます。
でも、上限が85℃のRTX 5070なら、80℃の時点で公称上限まで残り5℃です。
一方、上限90℃のRTX 5090なら、80℃はまだ10℃の余裕があります。
同じ80℃でも、意味がまったく違うわけですね。
ちなみに、RTX 40シリーズの時代は事情が違いました。
RTX 4060からRTX 4090まで、公式仕様の上限温度がすべて90℃で統一されていたからです。
RTX 40世代を使っている間は「上限は90℃」という理解でおおむね足りていました。
RTX 50シリーズになって機種ごとに分かれたので、この認識のまま使うと判断を誤る可能性があります。
自分のGPUの上限温度は、NVIDIAの製品ページで確認できます。
GPUの型番の読み方については、こちらでも解説しています。
→ CPU・GPUの型番の記号は何を意味するのか|K、F、Ti、Super、XT、X3Dを一気に解説
霊夢同じ80℃でも、GPUによって余裕が全然違うのね
魔理沙RTX 5070だと上限85℃だから、80℃なら上限まで5℃しか余裕がないってことか
霊夢そういうこと。だから『GPUは80℃まで』みたいな一律の説明は、あまり当てにならないの
魔理沙まずは自分のGPUの上限を調べるところからだな
CPUは高温になること自体が異常ではない
CPUはGPUとは少し事情が違います。
こちらも製品ごとに上限温度が設定されているのは同じです。
| CPU | 最大動作温度 |
|---|---|
| Ryzen 7 7800X3D | 89℃ |
| Ryzen 7 9800X3D | 95℃ |
| Ryzen 9 9950X3D | 95℃ |
| Core Ultra 7 265K | 105℃ |
| Core Ultra 9 285K | 105℃ |
たとえばRyzen 7 9800X3Dは95℃、7800X3Dは89℃、Core Ultra 7 265Kは105℃となっています。
同じメーカーでも製品によって差があるので、一律の基準は作れません。
そのうえで、知っておきたいことがあります。
CPUの動作は、温度だけで決まるわけではありません。
たとえばAMD RyzenのPrecision Boost 2では、温度だけでなく電力や電流など複数の条件を見ながら、自動的に動作クロックを調整します。
そのため、高負荷時に温度が高くなっていても、それだけで冷却不足とは判断できません。
このあたりが「90℃でも問題ない」という説明が出てくる理由ですね。
ただし、これは「温度が高くても何も気にしなくていい」という意味ではありません。
上限温度に達すると、CPUはその温度を超えないようにクロックや電力を調整します。
だから、温度だけでなく実際の動作状態も見る必要があります。
実際の例を挙げると、あるCPUの検証では、ゲーム中の温度が平均51.3℃、最大56.1℃という結果でした。
上限の95℃には遠く及ばず、クロックも最大ブーストに近い水準を維持しています。
こういう状態なら、冷却は十分に効いていると判断できますね。
温度が高くても壊れない理由
なぜ上限温度付近まで上がっても大丈夫なのか。
理由は、CPUやGPUに温度保護の仕組みが組み込まれているからです。
上限に達すると、自動的にクロックや消費電力を下げて発熱を抑えようとします。
これがサーマルスロットリングと呼ばれる動作です。
それでも温度が下がらない場合は、最終的にシャットダウンして自分を守ります。
Intelもこの動作を公式に説明しています。
つまり、メーカーが示す上限温度は「そこに達した瞬間に壊れる温度」という意味ではありません。
CPUやGPUには高温時にクロックや電力を調整して温度を抑える保護機能があり、さらに危険な状態ではシャットダウンする仕組みもあります。
ただし、温度制御が始まる条件や上限値の扱いはCPUやGPUによって異なります。
本当に注意したいのはこんな状態
ここが一番大事なところです。
温度の数字そのものより、次のような状態になっていないかを見てください。
上限温度付近で推移し、サーマルスロットリングや性能低下も確認できる
一時的に上がるのではなく、プレイ中ずっと上限近くで推移している状態です。
自分のCPUやGPUの上限が分かっていないと判断できないので、まず仕様を確認してください。
温度が上がるとfpsが落ちる
ゲームを始めてしばらくすると、だんだんカクついてくる。
これは温度が原因で性能が制限されている可能性があります。
クロックが明らかに下がる
温度保護が働いて、クロックを落としている状態です。
実際の例を挙げると、あるCPUクーラーの比較検証では、水冷クーラー使用時に約5.1GHzで動作していたものが、空冷クーラーでは約4.8GHzまで下がっていました。
ベンチマークのスコアも約4.5%低下しています。
前より急に温度が高くなった
同じゲーム、同じ設定なのに温度が上がっているなら、冷却性能が落ちている可能性があります。
フリーズやシャットダウンが起きる
異常な高温になった場合は、ハードウェアを保護するため自動的にシャットダウンすることがあります。
ただし、電源ユニットの不調など他の原因でも同じ症状が出ます。
温度が原因かどうかは、実際の温度を確認してから判断してください。
ここで注意したいのが、クロックが下がった=必ず熱が原因、とは限らないという点です。
電力の上限に達している場合もありますし、ゲーム側の負荷が軽くなっただけということもあります。
温度、サーマルスロットリングの有無、クロック、実際のfps。
この4つをセットで見て判断するのが確実です。
フレームレートの落ち込みについては、こちらの記事も参考になります。
→ 今更聞けない?!ゲームのかくつき原因で耳にする「1% Low」ってなんのこと?
温度が高かったら最初に何をすればいい?
実際に対処が必要そうだと感じたら、確認しやすい順に見ていきましょう。
1. ホコリを取り除く
最も手軽で、効果が出やすい対処法です。
ケースファンやCPUクーラー、GPUのヒートシンクにホコリが詰まっていると、空気の流れが悪くなります。
購入から時間が経っているPCなら、まずここを確認してみてください。
これだけで温度が下がることも珍しくありません。
2. 室温を確認する
見落としがちですが、室温もCPUやGPUの温度に影響します。
同じPCでも、室温が高くなれば冷却に使う空気そのものが暖かくなるため、CPUやGPUの温度も上がりやすくなります。
夏場に温度が高くなった場合は、PCだけでなく室温も確認してください。
3. ケース内の空気の流れを確認する
ケース内に入った空気が、きちんと外へ抜けているかを見ます。
ここで誤解しやすいのですが、吸気と排気を同じ数にする必要はありません。
吸気が多い構成そのものは、異常でも何でもないんです。
問題になるのは、空気が抜ける経路がなくて、必要な風量を確保できていない場合ですね。
ケーブルが空気の通り道を塞いでいないか、吸気口のホコリフィルターが詰まっていないかも確認してみてください。
4. ファンの数と配置を見直す
ファンの数が足りていないと、そもそも空気が動きません。
前面から吸って背面や上部から抜く、という基本的な流れができているかを確認します。
冷却の考え方については、こちらで詳しく解説しています。
→ 自作PC冷却完全ガイド|エアフロー最適化・空冷と水冷の選び方・CPUクーラーやケースファンのおすすめ
5. CPUクーラーを見直す
ここまでやっても温度が下がらない場合、CPUクーラーの性能不足を疑います。
特に、消費電力の大きいCPUに付属クーラーやエントリークラスの空冷を組み合わせている場合は、冷却が追いついていない可能性があります。
霊夢順番に見ていけば、初心者でも原因を絞り込めるのね
魔理沙いきなりクーラーを買い替えなくてもいいのか
霊夢まずはホコリと室温よ。それで解決することも多いから。お金をかけるのは最後でいいわ
魔理沙なるほどな。順番が大事ってことか
なお、実際の温度やクロックを数値で確認したい場合は、HWiNFOのようなモニタリングソフトを使う方法もあります。
確認するときは、アイドル時ではなくゲーム中の温度を見てください。
10分から30分ほど実際にプレイして、温度の推移とクロックの変化を確認するのが確実です。
まとめ
CPU・GPUの温度について、押さえておきたいポイントを整理します。
ゲーム中に温度が上がるのは当たり前のことで、それ自体は異常ではありません。
ただし、何℃までなら大丈夫かは、製品によって違います。
GPUは機種ごとに公称の上限温度が設定されていて、RTX 50シリーズでは85℃から90℃まで幅があります。
CPUも製品ごとに上限温度が異なり、同じメーカーや同じシリーズでも差があります。
だから「80℃までなら安全」といった一律の基準は、そのままでは使えません。
まずは自分のCPUとGPUの上限温度を、メーカーの公式ページで確認してみてください。
そのうえで見るべきなのは、上限までどれくらい余裕があるか、そして実際に性能が出ているかどうかです。
上限付近に張り付いている、fpsやクロックが落ちている、以前より明らかに温度が上がった。
こうした状態が確認できたときに、冷却環境を見直す。
対処はホコリの除去と室温の確認から始めて、ケース内の空気の流れ、ファン、CPUクーラーという順に進めるのが効率的ですね。
温度計の数字だけを見て不安になる必要はありません。
その数字が、自分の製品にとってどういう意味を持つのか。
そこまで確認して初めて、判断ができるようになります。


